研究課題/領域番号 |
21310153
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高井 潔司 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (20312407)
|
研究分担者 |
渡邉 浩平 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (50333638)
遊川 和郎 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (40312409)
北見 幸一 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (90455626)
西 茹 北海道大学, 大学院・メディア・コミュニケーション研究院, 准教授 (50533569)
|
キーワード | マスメディア / 新興メディア / ミニブログ / メディア管理 / 世論誘導 / ソフトパワー / 文化強国宣言 / 発話権 |
研究概要 |
今年度ほ、研究プロジェクトの最終年であり、中国のメアィア環境の変化と世論の動向について継続的に、メディア利用の実態調査および現地調査を行うとともに、各地の研究者、メディア実務者との研究交流、意見交換を行った。 その結果、近年、急速に中国版ツィッターである「ミニブログ」の利用が急速に広がり、新聞等のマスメディアから、インターネットウェブサイト(BBS、ブログ)さらにミニブログヘと、世論形成の場が変容している実態が明らかにできた。 同時に、それに対応して、中国共産党と政府(以下中国当局)によるメディア管理がさらに強化され、マスメディアだけでなく、インターネットやミニブログなどの新興メディアにも及んでいる実態を明らかにできた。中国当局は、近年、インターネットやミニブログが大衆の間に急速に普及している点に着目し、世論形成の「主戦場」と位置付け、その掌握と活用に力を入れてきた。それは発展する新興メディアに対する単なる受動的な防衛策ではなく、むしろ世論を誘導し、さらに国際社会における中国の発言権(中国語では発話権)を確保するソフトパワーの強化という主体的な、積極的な大国化の戦略の一環ともなりつつある。その戦略は2011年10月に開催の中国共産党第17期第6回中央委員会総会において採択された「文化体制改革を深化させ、社会主義文化の大いなる発展、大いなる繁栄を推進するための重要な問題に関する決定」(いわゆる文化強国宣言)として、具現された。この決定の意味についても、本研究を通して明らかにできた。とりわけ、この決定によって、国際世論の場で今後、欧米先進諸国を中心とする国際世論と中国との軋轢を予見することができよう。 また重慶などの現地調査によって、地方当局によるメディア統制の実態を明らかにした。2012年3月、重慶の最高指導者が解任される事件が発生したが、その背景がすでに本研究の成果物で紹介されている。
|