研究課題/領域番号 |
21310158
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
内海 成治 お茶の水女子大学, グローバル協力センター, 客員教授 (80283711)
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研究分担者 |
阿部 健一 お茶の水女子大学, 総合地球環境学研究所, 教授 (80222644)
高橋 真央 甲南女子大学, 文学部, 講師 (50401609)
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キーワード | 教育支援 / ポストコンフリクト支援 / 難民化効果 / 東日本大震災支援 / 学校建設 |
研究概要 |
平成23年度は研究代表者の内海がスリランカ(4月)ケニア(7月)、研究分担者の阿部が東ティモール(8月)に現地調査を行った。アフガニスタンは治安状況が一段と悪化しているが、24年1月に16名のアフガニスタン女性教員をお茶の水女子大学に招聘して研修を実施した。また、東日本大震災における社会変容に際して教育復興の調査と支援のために岩手県(陸前高田、大船渡、大槌町)、宮城県(気仙沼)福島県(いわき、二本松)に数度にわたって出張した。 1990年の「万人のための教育世界会議」以来の教育普及の試みは2000年の国連ミレニアム開発目標によってさらに大きな広がりを見せ、基本的に人類の志向性(ノーム)として定着しつつある。紛争や自然災害の影響により大きな社会変容に見舞われた地域においても、状況は同様である。すなわち、東アフリカ、アフガニスタン、東ティモールにおいて子どもの教育は家族にとって最も重要な課題となっている。これは難民キャンプからの帰村や移住に際して、学校の存在が人々の移動の条件になっていることからも明らかである。すなわち、学校のない村に戻るあるいは移住することは出来ないのである。 また、これまでの開発理論ではコミュニティ参加型の学校建設の重要性が指摘されていたが、今回の調査から言い得ることは、学校が基礎インフラとして機能していることである。特に紛争後は難民化効果と言われるように教育爆発が起こり、教育への志向性は高まるために、学校建設はコミュニティ参加型ではなく、国や国際社会の支援としていち早く整備すべき課題となった。 こうした現象は今回の東日本大震災の被災者でも避難所や仮設住宅への移動に際して子どもの教育環境が重要なファクターになったことからもうかがえるのである。すなわち、変容する社会のなかで家族の未来方略にとって教育が大きな役割を果たしていることが明らかになった。
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