(1) 陜西省北部および内モンゴルに広く自生する長柄扁桃(A.pedunculata)は油糧およびタンパク質を多く含むが、アミグダリンをも含有するために、食用に適さないが、西北大学のYehua Shen教授はその除去と利用技術を確立した。我々は、この植物によって乾燥地緑化を推進することで、大豆などの油料作物を代替し、アマゾンなどの熱帯雨林の破壊を抑制することを明らかにした。8月20~21日に、神木県において「第一回中陜北生態化研究及び生態文明建設フォーラム」に参加し、長柄扁桃の活用の重要性を明らかにすると共に、現地調査を行って利用状況を確認した。この件を通じて、大阪大学工学部の宇山浩研究室と共同研究の体制を確立した。 (2) 8月19日、黄土高原国際民間緑色文化ネットワークの年次総会を開催した。同ネットワークの指導者である朱所弼氏の銅像が有志によって建立され、その記念シンポジウムを兼ねた。この会議で、朱所弼の業績とその指導精神の持つ意義とを明らかにするとともに、同ネットワークの活動状況を調査した。 (3) 東京大学東洋文化研究所から、朱所弼を中心とするこのネットワークをめぐる語りを明らかにする資料集『黄土高原・緑を紡ぎだす人々「緑聖」朱序弼をめぐる動きと語り』を刊行した。この資料集は、我々が参画しているコミュニケーションの渦に関する資料を自ら収集して日中両語で纏めたものであり、また、この資料集自体が語りの渦のなかに投げ込まれることで、新たなコミュニケーションの惹起を目指すという意味で「オープンテキスト」である。 研究協力者の富樫智はアラシャンにおける薬草やエミューの利用による生態系を回復させる経済活動の健進に向けた研究を推進した。坂本毅は、内モンゴル・オルドスとの貿易を通じた植生回復ビジネスのマネジメントについて研究を推進した。
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