研究課題/領域番号 |
21310160
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
深尾 葉子 大阪大学, 経済学研究科, 准教授 (20193815)
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研究分担者 |
安富 歩 東京大学, 東洋文化研究科, 教授 (20239768)
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キーワード | 黄土高原 / 黄砂 / グローバル・マネジメント / 砂桃 / オニク(砂漠人参) / 砂漠 / オルドス / アラシャン |
研究概要 |
引き続き阿拉善における沙漠自生作物である沙漠人参の薬酒への利用の試みが現地で続けられ、日本の酒造メーカーにもちかけて砂漠緑化作物を利用した健康酒を日本で製品化する試みがほぼ成功した。その経緯を竹中隆が現地視察および指導。阿拉善で経済活動につながる緑化実践とその研究を続けている冨樫智は、数度にわたり阪大を訪れ状況を報告。また次年度計画予定の報告書用の原稿として阿拉善でのこれまでの歩みをまとめた報告書を提出。内モンゴルオルドスにて、同じく草原を回復するビジネス創生の道を現地住民と共に実践している坂本毅も現地を訪れ植林および高品種の羊の成育状況などを視察。また8月には大阪大学工学部宇山浩教授(材料工学、植物由来のポリマー、油の利用の研究)が本プロジェクトに参加。西北大学の申〓華教授とともに楡林、米脂を訪問。途中砂桃の利用に関する研究の進捗状況に関する申教授の報告のあと申教授の出身地であり、我々のプロジェクトの生体回復実験中の拠点である鎮川鎮の黄土高原生態植物園などを参観、生態回復の実態を調査した。宇山はその後砂桃の多面的利用に関わる日本側ルートの開拓、西北大学との協力関係の樹立などの活動を続け、年度末に再度単独で西安訪問。現在それらの内容をもとに報告書執筆中である。代表者深尾と安冨は8月現地で文化的パスを利用した生態回復をめざす地元ネットワークとともに現地で会議を開催(8月16日陜西省横山県にて)。雨天の中100名を超える参加者を得て人々の関心の高さを示した。 (注:文中の安冨以外は研究協力者)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
阿拉善やオルドスにおける沙漠緑化作物の商品化やそれに呼応した植樹作物の多様化といった実践は順調に進展している。ただ、黄土高原生態植物園における自生植物の皆既調査は、現地楡林学院の研究体制が整わず、今年度は実現しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた植生回復地におけるデータ収拾といった調査は以前行った同様のデータを活用することとし(自然植生の回復が見られる土地での植物の種類、遷移に関する調査)、最終年度は西北大学申教授が多年にわたって行ってきた砂桃研究の成果を取り入れ、今後どのような具体的な展開方法、問題点があるか、などを日本側から提示することを主体とする。これにより、今後さらに規模を拡大して日中双方による沙漠緑化作物の商品化に関する、社会的、工学的、経済的アプローチが可能となる方向に活動の重点を移す。
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