研究課題
これまで黄土高原およびオルドスで続けられた経済活動とつながる緑化の実践と支援は本研究最終年を迎え、総括と成果発表へと力を注いだ。各人がこれまで続けてきた活動を現地でさらに展開すべく現地で、さらなる調査、提言、関与を行ったほか、9月には新たな成果につながる共同研究会を開催。12月には西北大学から砂桃の産業化利用について多年の研究を行なっている申燁華教授をお招きし、大阪大学吹田キャンパスにおいて公開シンポジウムを開催した。その結果、砂漠緑化作物砂桃の具体的な産業化利用には、依然さまざまな問題があり、特にコスト面との兼ね合いが難しく、燃料、工業材料、薬品など多面的な利用を可能とするさらなる努力が必要であることがわかった。また、同様の趣旨で産業化利用が可能となりつつある杜仲との経験交流も促進された。本研究の結果、黄砂問題は人為的要因が深く関わった問題であり、単なる自然現象として対策を講じることは不毛であること、その際地元の人々の生活や意識と密着し、受け入れられる手法を編み出す必要が有ること、などが明らかになった。また従来の植林は必ずしも有効ではなく、自生植物の産業化利用や、シアノバクテリアなどの環境回復作用を十分に活かした地域の生態系回復の道を図ることが重要であるとの認識を得た。3月には、こうした研究内容をまとめた報告書を作成し、関係者に配布。本報告書の内容は、いずれ出版物として広く国民に知らせるべく準備を行う予定。同報告書は、黄砂研究にみられた様々な誤解や思い込みを正し、黄砂が人為現象であること、黄砂発生の歴史的社会的コンテキストを読むことが何よりも重要であること、その対策には、経済活動とつながる多方面からのアプローチが必要なこと、などを訴え、黄砂発生時の村の観察記録、植生記録、実践例などをまとめた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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土と微生物
巻: 土と微生物 66(2), 83, 2012-10-01 ページ: 83