研究課題
平成21年度には準備会合を含めて研究会を4回開催した。西島はブラジルで注目されているバイオエタノールの生産が機械化を促進して雇用拡大にはつながっておらず、低賃金労働者の排除につながっていることを指摘した。宇佐見はアルゼンチンの経済自由化がもたらした大量の失業者の社会運動(ピケテロス)が拡大したが、左派路線をとるキルチネル政権で政権との協調と対立の2路線に分裂し弱体化したと報告した。浜口はブラジルの地域所得格差が経済自由化後縮小したことを経済自由化、内需拡大政策、資源輸出の影響として報告した。高橋はメキシコの条件付現金給付政策では、選挙動機に基づく裁量的支出を規制し、社会政策におけるアカウンタビリティと透明性を高めるための制度改革が進んでおり、制度改革へのアカウンタビリティが増していると評価した。また、細野は左派から右派への政権交代が起こったチリの大統領選挙の背景について現地調査を行い、高橋はチリ・ブラジルで調査を行って、条件付現金給付政策のメキシコとの比較研究を行った。幡谷はコロンビアの地方自治における市民社会の役割の実体に関する現地調査を行った。ラテンアメリカ研究者との研究交流として、宇佐見が共同研究を実施しているラテンアメリカ社会科学大学院のオドネ教授がアルゼンチンの高齢者問題について、ハバナ大学のペレス教授がキューバの経済改革についてそれぞれセミナーを開催した。本研究では以上のような研究を通じて、ラテンアメリカが現在の経済環境において経験している政治的・経済的緊張関係と調和にむけた取り組みの交差を明らかにする成果をあげている。個別の研究内容は備考に記載したホームページで公開されている。
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国民経済雑誌 201(2)
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Applied Economics (Forthcoming)
ページ: On-line
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http://www.latineresearch.jp/