研究課題/領域番号 |
21320001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新田 孝彦 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00113598)
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研究分担者 |
蔵田 伸雄 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50303714)
村松 正隆 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (70348168)
眞嶋 俊造 北海道大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50447059)
松王 政宏 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (60333499)
伊勢田 哲治 京都大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (80324367)
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キーワード | 倫理学 / 応用倫理 / 専門職 / 倫理教育 / 職業教育 |
研究概要 |
本研究の目的は、(1)伝統的な専門職に即して形成されてた従来の専門職概念を再定義し、(2)現代における専門職の課題を明確化することによって、(3)専門職概念の重層性に対応した専門職倫理の全体構造を解明し、再構築することである。 初年度の21年度は、上記(2)(3)に関して、文献研究や研究会・ワークショップの開催などを通じて、主に専門職が抱えている課題を具体的に把握することに努めた。その結果判明したのは、現在においては、多くの専門職において「集団的自律」が従来のような形では維持され得ず、何らかの仕方で市民社会との「交渉」を余儀なくされているということである。これを自律の後退と見るのか、市民社会の成熟の結果として積極的に評価するのかについては解釈の余地があり、今後の研究の課題であるが、いずれにしても、上記(1)との関連で、専門職と市民社会との関係は根本的に問い直されなければならないことが明らかになった。 本研究の特色の一つは、本学の応用倫理研究教育センターをプラットフォームとして海外の研究者との連携のもとで国際的な広がりをもった研究を行うことであるが、これについては、センター主催の第4回応用倫理国際会議(2009年11月)などを通じて研究交流を図った。その成果は本センター発行の学術誌「応用倫理」第2号(2009年)、英文学術誌"Journal of Applied Ethics and Philosophy",vol.1(2009)、及び論文集"Applied Ethics:Challenges for the 21th Century"(2010)において公表されている。一例を挙げれば、英文学術誌に掲載された英国カーディフ大学ルース・チャドウィック教授の諭文「応用倫理においては何が応用されているのか」は、応用倫理国際会議での講演をもとに、応用倫理学の成立を多様な専門職との関係で論じたものであり、この領域において長く参照されるべき基礎的文献と評価することができる。
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