研究課題/領域番号 |
21320005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関根 清三 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90179341)
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研究分担者 |
三嶋 輝夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (80157479)
出村 和彦 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30237028)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (90309427)
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キーワード | 哲学と宗教 / 知と信 / 旧約聖書 / 西田幾多郎 / ベッサリオン / アウグスティヌス / ソクラテス |
研究概要 |
各研究者は初年度の立ち上げに当たり、(1)それぞれの課題を遂行するために適当と患われるテクストの選定確認、(2)当該テクスト読解の先行研究の検討、(3)テクストの適切な解釈を行うため、それぞれの世界における固有の倫理思想の傾向の洗い直し作業をした上で、互いの方法論を照合検討する研究合宿を9月東京大学で行なった。 関根は、古代ユダヤ教の古典である旧約聖書を古今東西の哲学者がこれをどう解釈したか、その対論に注目するという方法により、I.KantやS.Kierkegaardから現代のユダヤ教哲学者E.LevinasとJ.Derrida、その他ブーバー、ヘッシェル等に加え、西田幾多郎の創見に富む旧約解釈を検討した。これに基づき、聖書の死生観や宗教と倫理の相克についての見解を発表した。またM.Bieber、V.Tillietteといった最近の研究を参照しつつ、当該問題について考察した。 三嶋はベッサリオンを中心に、古代哲学全般も視野に入れながら研究を進めた。2010年3月には米国イェール大学に出張し、同大学バイネッケ図書館所蔵のラテン語版『プラトン批判者論駁』のテクストおよびベッサリオンによるクセノフォン『ソクラテスの思い出』のラテン語訳テクストを閲覧、デジタル化、マイクロフィルム化を依頼することができ研究の足がかりを築くことができた。 出村はキリスト教を「真の哲学」として提示する教父たちにおける知の捉え方の今日的アクチュアリティを検討すると共に、アウグスティヌスがパウロ書簡解釈を通じて、神である知恵を愛する生き方(Way of Life)としてのフィロソフィア(amor Sapientiae)を教会や修道生活という信仰共同体理解のまさに基本に据えていたことを跡づけた。 高橋は、2009年9月にオックスフォード大学に出張し、ギリシア哲学と宗教の関係について現地の研究者と意見の交換をし、ソクラテスにおける神の問題の考察に有益な示唆を得た。
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