研究課題/領域番号 |
21320005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
関根 清三 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90179341)
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研究分担者 |
三嶋 輝夫 青山学院大学, 文学部, 教授 (80157479)
出村 和彦 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (30237028)
高橋 雅人 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (90309427)
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キーワード | 哲学と宗教 / 知と信 / ヘブライズム / ヘレニズム / 旧約聖書 / ベッサリオン / アウグスティヌス / プラトン |
研究概要 |
研究期間初年度の研究成果と、二年度の研究計画を互いに披歴し批判する研究会を5月に青山学院大学で行った。 関根は、2008年に上梓した『旧約聖書と哲学』では、古代ユダヤ教の古典である旧約聖書自体、宗教ないし歴史の書であって、哲学書ではないので、古今東西の哲学者がこれをどう解釈したか、その対論に注目するという方法を、自覚的に遂行した。今年度それに引き続いて、研究課題の「ヘブライズム・キリスト教」の宗教倫理を、「ヘレニズム」・ギリシアの実践哲学と「対話」する方法を用いて、西洋倫理思想の源流の系譜と本質を秋からにする著作『ギリシア・ヘブライの倫理思想』を纏めた。ギリシアの倫理思想の概説はO.Dittrichなどの雑駁な概観しかなく、ヘブライのそれもE.Ottoの網羅的な引用を並べたものしかない研究状況で、それぞれの筋の通った概観を提供し、その上両者を比較して、共通点・相違点を別抉した著作は世界的にも類書がなく、本共同研究の成果として誇ってよい。 三嶋は、ルネッサンス期におけるギリシャ哲学とキリスト教神学の関係をめぐる熾烈な論争の中心人物であるBessarionの主著"In Calumniatorem Platonis"の読解作業を進めるとともに、研究対象を彼の論敵Georgius Trapenzuntiusの"Comparationes Philosophorum Aristotelis et Platonis"にも拡大しつつある。平行して、ドイツ、英国において、哲学と宗教に関わる論文を発表した。 出村は、アウグスティヌスの『イザヤ書』7:9LXXの解釈を精査して彼の「信仰と知」の問題を検討し、またマニ教論駁を背景とした彼のパウロ書簡の解釈に定位した「意志」や「恩恵」に関わる「心cor」の神学の骨格と「哲学」との関係を跡づけた。 高橋は、プラトン『国家』の「洞窟の比喩」における、神託に対する政治的態度と哲学的態度の違いを明確にする論文を発表し、プラトンの『ティマイオス』とアリストテレスの『形而上学』との読解を並行して進め、両哲学者における神と魂との関係の相違点を考察した。
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