研究課題
本年度は、昨年度の研究活動を受けて、各自の個別研究を進めるとともに、計5回の共同研究会を開催し、その研究成果を互いに検討し合い、広い意味での新たな「ケアの現象学」の形成に向けて、その方向性を探る作業を行った。また研究会に、外部から看護学の専門家(池川清子氏)ならびに緩和ケアの専門家(田村恵子氏)を招いて講演をしていただき、研究交流と情報交換を行った。各自の個別研究の成果は以下の通りである。研究代表者、榊原哲也は、従来の現象学的看護研究の「現象学的」特質を方法論的観点から見極め、今後の可能性について見通しを得るとともに、本研究のプロジェクト全体を統括した。分担者、浜渦辰二は、高齢社会における終末期医療に焦点を当てた4回のシンポジウムを通じて、伝統的ケア理論と現代の臨床的場面とを繋ぎながら、「こころ」のケアへの現象学的アプローチを検討した。分担者、西村ユミは、「ケア」にかかわる多分野の研究者と現象学的研究の在り方を検討するとともに、病棟を異動した看護師の経験を、現象学を手がかりにして記述し、同時に方法論を考察した。分担者、守田美奈子は、緩和ケア病棟でのフィールドワークに関して大学及び対象施設の倫理審査委員会の承認を経て緩和ケア病棟での予備調査(実習)を行い現象学的視点から研究方法を探った。分担者、和田渡は、看護者が患者の看護をよりよいものにするために心得ておくべきもののひとつとして、看護者自身のセルフケアという問題に焦点をあてて考察した。分担者、村上靖彦は、心理臨床における治癒という現象のもつ一般構造の考察を行うとともに、看護研究や障害学の事例研究を行った。分担者、福田俊子は、これまでの精神科ソーシャルワーカーを対象とした調査を「専門性」をキーワードにして総括した。分担者、前野竜太郎は、臨床現場で行われている重症心身障害児への維持期理学療法から,どのようなケアの現象学的アプローチが垣間見られるのかについて,理学療法士へのインタビューデータから解釈を行った。分担者、西村高宏は、「身体化(embodiment)」や「自己化(enselfment)」といったキーワードを軸に展開される、〈身体〉に関する現象学的な社会学の最新の文献(障害学の文献も含む)を読み解く作業をとおして、現象学的社会学的視点からケア理論構築の可能性に関する研究を行った。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (23件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (14件)
看護研究
巻: Vol.44(1) ページ: 5-16
臨床哲学
巻: 12号 ページ: 20-30
質的心理学フォーラム
巻: 2巻 ページ: 18-26
Studia Phaenomenologica
巻: Vol.10 ページ: 193-204
巻: Vol.44(1) ページ: 76-84
Phenomenology and the Cognitive Sciences
巻: Vol.10(1) ページ: 1-16
UTCP Booklet
巻: 18巻 ページ: 141-158
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要
巻: 9巻 ページ: 131-144
高齢者虐待に対する共通認識の醸成および効果的な虐待防止対策検討のための調査研究(みずほ福祉財団)
ページ: 35-42
文化看護学会誌
巻: 3(1) ページ: 50-53
名古屋哲学研究会編『哲学と現代』
巻: 26号 ページ: 6-19
Identity and Alterity-Phenomenology and Cultural Traditions-, ed.by Kwok-Ying Lau, Chan-Fai Cheung, Tze-Wan Kwan, Orbis Phaenomenologicus, Konigshausen & Neumann
ページ: 99-112
日本精神病理・精神療法学会編『臨床精神病理』
巻: 第31巻第3号 ページ: 143-146
巻: 44(1) ページ: 49-62
巻: 44(1) ページ: 63-75
ユリイカ
巻: 43(1) ページ: 89-99
現代思想
巻: 39(2) ページ: 126-137
Annales de phenomenologie
巻: 10 ページ: 163-176
大阪大学大学院人間科学研究科紀要
巻: 37 ページ: 117-134
同志社哲学年報
巻: 33巻 ページ: 1-24
精神科治療学
巻: Vol.25(12) ページ: 1627-1632
Ежегодник по феноменологиской философии2009/2010[Annual for phenomenological philosophy 2009/2010]
巻: 2 ページ: 87-99
巻: 38(7) ページ: 236-245