研究課題
研究実施計画では、「和解」概念の再構築を目指して、当該年度2回の研究会を開催し、その成果を雑誌で発表する予定であった。この予定はおおむね達成できた。まず1回目の研究会では6本の発表が行なわれた。そのなかで特筆すべきは、研究協力者、中村博雄氏の「日本国憲法の基本原理とカント哲学」であろう。その意義は、平和を「啓蒙」の精神との関係から考察するところにあった。この論点は研究分担者山内廣隆氏の発表と、啓蒙的価値の肯定的側面を評価する点において通底していた。2回目の研究会では、4本の発表が行なわれた。大別すると、宗教的観点(仏教とキリスト教)から「和解」(平和)を考察したもの2本、正戦論における「和解」概念の考察、レオ・シュトラウス政治哲学における戦争と平和の考察の計4本であった。このなかで、正戦論の評価をめぐって、発表者、大田義器(摂南大学)と研究分担者、眞嶋俊造氏の間で、正戦論の評価をめぐって激論が戦わされた。この議論は科研費で購入したビデオ機器で詳細に録画録音されているので、引き続き次年度にも取り上げる予定である。以上のように、今年度は「和解」概念を主として政治哲学的、および宗教的観点から考察した。その成果は3月1日発行の雑誌『ぷらくしす』においてすでに発表しているが、2回目の研究会の成果は、次年度掲載予定である。なお、当初は2回の研究会のうち1回は外国人研究者を招聘して議論を行なう予定であったが、外国人の日程の都合で断念せざるをえなかった。しかし、そのための費用を振り替えて、「和解」概念再構築のための現地視察を行なった。開発か保護かで揺れている鞆の浦視察と、基地移設で揺れている普天間基地およびその代替地とされている辺野古地区を含む沖縄現地視察である。現地を視察し、多くの人と議論し、多くの資料を持ち帰ることができ、研究に大きな「ふくらみ」ができた。
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ぷらくしす 通巻第11号
ページ: 1-10
ぷらくしす 通巻11号
ページ: 69-73
ページ: 61-67
広島大学大学院文学研究科論集 69巻
ページ: 1-19
Theologie interkulturell. Glaubenskommunikation in einer gewandelten Welt
ページ: 231-243
Religionswissenschaft im Kontext der Asienwisse nschaft
ページ: 73-82
Wege und Welten der Religionen
ページ: 429-438
広島大学大学院教育学研究科紀要第二部 第58号
ページ: 33-42
Philosophia : Philosophical Quarterly of Israel(peer-reviewed) 37:2
ページ: 203-209