研究課題/領域番号 |
21320007
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
越智 貢 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00152512)
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研究分担者 |
山内 廣隆 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20239841)
松井 富美男 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (60209484)
後藤 弘志 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90351931)
衛藤 吉則 広島大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (60270013)
岡野 治子 清泉女子大学, キリスト教文化研究所, 研究員 (50204003)
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キーワード | 和解 / 平和 / 応用倫理学 / 不和 / 環境 |
研究概要 |
平成23年度は、9月に応用倫理学プロジェクトセンター例会において、政治哲学に通じる杉田孝夫と高田純を招き、「和解」概念の再構築をテーマに研究発表会とシンポジウムをおこなった。政治領域から、石崎嘉彦「和解性と合理性-初期ヘーゲルの三位一体論解釈と合理性批判の限界」、杉田孝夫「『和解』は可能か-政治哲学的問い」、高田純「ヘーゲルにおける和解と弁証法」、濱井潤也「マイケル・ウォルツァーの特定主義(Particularism)-普遍的正義と特殊的文化との和解」、社会領域から、野村卓史「ヘーゲル『精神現象学』における「和解」」、教育領域から、衛藤吉則「西晋一郎における特殊即普遍のパラダイム-「和解」概念構築の手がかりとして」、環境領域からは、後藤弘志「フッサールにおける自然との和解」の各発表がなされた。これらの発表は、同センターの研究成果報告書『ぷらくしす』(13号)に論文として掲載された。さらに、本年度は「和解概念の再構築」に向けた科研研究の最終年度にあたり、全員が各領域から論文を書き、研究成果報告書『「和解」概念の構築-平和への応用倫理学的アプローチ』(代表者越智貢)を刊行した。 今日、世界的な情勢をみるかぎり、単純な功利性に基づく成長神話や固定したひとつの尺度による一方向的な支配が不可能であることが歴史的に確認されつつある。排他性はさらなる排他性を引きおこし、負の連鎖があらゆる領域で生じている。こうした時代状況にあって、異質なもの(異質と感じられるもの)が異質なままに共生できるための新たな原理が希求される。本研究がめざした「和解(赦し)」の理念は、まさにそうした要求に応えることを可能にするものといえる。
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