研究課題
21年度に引き続き、(1)道徳的規範の実在性と規範的理由の存立条件、(2)実践的推論と行為の合理性、(3)自律、(4)幸福(福利)、(5)徳という問題群について、研究代表者・分担者を中心に研究を進めた。22年度は、4回の研究集会を開催し、研究代表者・分担者に加えて、研究協力者ならびに海外からの招聘研究者による研究が報告され、意見交換を行った。問題群(1)と(2)に関しては、行為の道徳的な正当化と後悔の関係に関するR.Jay Wallace(カルフォルニア大学・バークレー校)による連続セミナーと議論(当初23年3月に予定されていたが、東日本大震災により8月に実施された)によって、行為の道徳的な正当化が道徳的運や後悔とどう関係するかが明らかになった。(1)に関しては、河野哲也(立教大学)が、道徳の正当化における感情の役割の研究をすすめ、(2)に関しては山本圭一郎(立命館大学)によって、現代の脳科学の成果にもとづく知識提供がなされた。(4)に関しては、相澤康隆(東京大学)がアリストテレスの有愛論をとおして幸福の意味を解明し、柏端達也(千葉大学)が、幸福と時間との関係を分析形而上学の成果を取り入れつつ分析した。さらに、成田和信(慶應義塾大学)が、時間の相違による欲求実現の幸福への貢献度の相違を明らかにした。(5)に関しては、環境倫理学における徳論の最近の動向に関する知識提供を神崎宣次(京都大学)から得た。以上のような研究報告や知識提供とそれに伴う意見交換をへて、道徳的行為の動機付けと正当化において、徳や友愛や後悔がどのような役割を果たすのか、また、時間に対する我々の非対称的なとらえ方が、どのように幸福把握に影響しているかが明らかになった。これらの成果をさらに発展させ、23年度においても研究分代表者・分担者ならびに協力者は、研究成果を論文や学会報告の形で公表する努力を続ける。
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