研究課題/領域番号 |
21320009
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
成田 和信 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (30198387)
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研究分担者 |
河野 哲也 立教大学, 文学部, 教授 (60384715)
柏端 達也 慶應義塾大学, 文学部, 教授 (80263193)
エアトル ヴォルフガング 慶應義塾大学, 文学部, 准教授 (30407150)
福間 聡 東京大学, 人文社会系研究科, 特任研究員 (40455762)
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キーワード | 自律 / 規範 / 実践的推論 / 行為の合理性 / 幸福 / 欲求 / 徳 / 実践理性 |
研究概要 |
22年度に引き続き、(1)道徳的規範の実在性と規範的理由の存立条件、(2)実践的推論と行為の合理性、(3)自律、(4)幸福(福利)、(5)徳という問題群について、研究代表者・分担者を中心に研究を進めた。23年度は、5回の研究集会を開催し、研究代表者・分担者に加えて、研究協力者ならびに海外からの招聘研究者による研究が報告され、意見交換を行った。問題群(1)と(2)に関しては、Michael Slote(マイアミ大学)による連続セミナーを開催し、信念や推論にも感情が内在しているからこそ実践的推論が成立するという彼独自の理論を検討した。さらに、(1)に関しては、ヴォルフガング・エアトル(慶應義塾大学)がG.E.ムアの善概念をアリストテレスの形而上学からの影響という観点から読み直し、ムアの実在論の新解釈を提供した。また、(2)に関しては、奥田太郎(南山大学)から、ヒュームのコンヴェンションの成立過程における感情のやりとりの役割に関する知識提供をうけた。(3)に関しては、塩野直之(東邦大学)から、行為のコントロールにおける価値評価の役割に関する研究成果の提供がなされた。(4)に関しては、吉沢文武(千葉大学)と柏端達也(慶應義塾大学)が、死が与える不幸という観点から検討を加えた。さらに、(5)に関しては、林誓雄(立命館大学)によって、Michael Sloteが展開している感情主義的徳倫理学に関する知識提供が行われた。 以上のような研究報告や知識提供とそれに伴う意見交換をへて、とくに感情が実践的推論において果たし得る役割について解明が進むと同時に、価値判断が自律において果たす役割について検討を加えた。また、徳と感情との関係に関する理解も深まった。
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