本年度(平成25年度)は、前年度に引き続き『上海博物館蔵戦国楚竹書』の釈読を、研究メンバー全員で分担して進めた。平成25年度初頭に公開された『上海博物館蔵戦国楚竹書』第九分冊所収の『成王爲城濮之行』、『霊王遂申』、『陳公治兵』、『舉治王天下』、『邦人不稱』など七つの文献、およびほぼ同時に刊行された『清華大学蔵戦国竹簡』第三分冊所収の『説命』、『周公之琴舞』、『良臣』など六つの文献について、分担して釈読を試みた。その際、『上海博物館蔵戦国楚竹書』第一~八分冊、および『清華大学蔵戦国竹簡』一・二に収録されていた諸文献や、これまで確認されている楚文字との関係にも充分留意した。代表者の湯浅邦弘は、期間中の研究成果をとりまとめ、平成24年に、中国語の学術書『中国出土文献研究』(台湾・花木蘭文化出版社)として刊行したが、続いて、平成26年5月には、大阪大学出版会から、『竹簡学─中国古代思想の探究─』を刊行することが決定している。 第二は、新出竹簡の実見調査と海外での研究発表である。新出資料の実見調査としては、平成25年5月に、湯浅・竹田健二(分担者)ほか4名が香港中文大学を訪問し、「香港中文大学蔵簡牘」を実見、また8月には研究会メンバー全員で安陽師範学院を訪問して、多数の甲骨文を実見した。さらに、平成26年1月には、湯浅が上海博物館を訪問して、上博楚簡を実見調査した。一方、海外での研究発表も精力的に行い、5月、香港城市大学において開催された「第五回東アジア文化交渉学会」に湯浅・竹田ほか4名が参加して研究発表を行い、6月には、台湾大学中文系で開催された「先秦両漢出土文献与学術新視野国際研討会」に湯浅・竹田が出席して研究発表を行った。10月には、北京大学で開催された『老子』の国際学会に、湯浅・竹田・福田哲之(連携研究者)が出席し、最新の研究成果を発表した
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