研究課題/領域番号 |
21320013
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
土屋 昌明 専修大学, 経済学部, 教授 (80249268)
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研究分担者 |
鈴木 健郎 専修大学, 商学部, 講師 (40439518)
大形 徹 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (60152063)
横手 裕 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (10240201)
二階堂 善弘 関西大学, 文学部, 教授 (70292258)
山下 一夫 神田外語大学, 外国語学部, 講師 (20383383)
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キーワード | 道教 / 宗教 / 日本文化 / 思想 / 洞天 / 道観 / ネットワーク / 地理景観 |
研究概要 |
本研究は、中国の道教について、その地域的な特徴と各地の宗教的な拠点のネットワークを考察し、それを通して、地域的な山岳信仰としての洞天思想の実態と、その歴史的な経緯を考察するものである。現地調査として本年度は、有名な洞天のうち、嵩山・華山・終南山を実地調査し、それぞれの道観と道士の実態を調べるとともに、景観や洞窟などの地理的特徴について調査した。とくに終南山については、新出史料が出土した情報があったため、二度の調査をした。また、現地の道士へのインタビューにより、現在におけるこれら道観と他の地域の洞天との連絡関係について調査した。具体的な研究成果としては、1、2回の研究集会を開催して、資料調査の状況と現地調査の情報交換をおこなった。2、昨年までの研究による論文を執筆した。3、陝西省社会科学院宗教研究所の研究員である樊光春氏を招き、研究会を開催するとともに、京都伏見大社および伊勢神宮を見学し、日本文化と道教・洞天思想との関わりについて初歩的な意見交換をした。さらに樊光春氏には、華山と終南山(第二回め)の調査で現地協力を得た。 以上のような研究および成果報告により、文献的にしか知られていなかった中国各地の洞天の景観や地理的環境について、従来にない具体的な叙述が可能となり、文献に記載された事情が多くの点で明確になった。また、歴史的な洞天における現在の信仰の状況がはっきりし、また相互のネットワーク化への現在進行形の状況が認識された。これらのことは、洞天思想の歴史的な研究にも示唆と根拠を与えるものであり、現在の道教信仰の実践状況を認識できるだけでなく、歴史的な研究にも資するであろう。さらに、日本文化への道教・洞天思想の影響を考える初歩的な認識が得られた。
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