研究課題/領域番号 |
21320020
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
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研究分担者 |
岡田 暁生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (70243136)
伊藤 順二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (80381705)
小関 隆 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10240748)
王寺 賢太 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90402809)
久保 昭博 京都大学, 人文科学研究所, 助教 (60432324)
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キーワード | 第一次世界大戦 / 戦争表象 / 大衆メディア / 戦争玩具 / プロパガンダ |
研究概要 |
本計画が対象とするのは、世紀転換期における国民動員メディアの諸相である。周知のように第一次および第二次大戦の特徴は、それが一握りの支配者ではなく、支配層の意図を超え、統制を逸脱するほどの広汎な大衆の支持と熱狂を伴った点にある。すでに十九世紀後半からヨーロッパ列強では、一般市民の支持をとりつけるべく、熱心な愛国教育がなされるようになっていた。今年度においては、とりわけ日露戦争から第一次世界大戦前夜にいたる時期ならびに第一次世界大戦期の戦争プロパガンダの諸相を調査した。特定の人種対立の構図を、雑誌を媒体として国民に浸透させる手法はすでに日露戦争の時代から常套手段となっており、日清戦争においては、文明化された日本と野蛮な清国との戦いという正当化が、国内ならびに欧米において理解を得ることが出来た。しかし日露戦争においては、ヨーロッパ文明圏に属するロシアに対して、欧米に向けて日本が文明国であると正当化することは意味を持たず、人種的偏見をいかに解消するかという難題が持ち上がる。また第一次大戦前夜の欧米においては、イギリス/フランスとドイツ、あるいはオーストリアとロシアが互いを「文明/野蛮」の構図によって攻撃するということがすでに頻繁に行われていたが、こうした構図自体の破綻をもたらしたのが第一次世界大戦であった。これらの調査は主として、月二回の京都大学人文科学研究所における研究会で報告され、メンバーによって検討された。
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