研究課題/領域番号 |
21320023
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
関口 正司 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60163101)
|
研究分担者 |
清水 靖久 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (00170986)
鏑木 政彦 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 准教授 (80336057)
木村 俊道 九州大学, 大学院・法学研究院, 准教授 (80305408)
井柳 美紀 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (50420055)
竹島 博之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90346734)
|
キーワード | 思想史 / 政治思想史 / リベラル・アーツ / 教養 |
研究概要 |
分担研究者は年度計画に定められた次の基本的観点に沿って研究を進め、次頁に示す研究成果をあげた。 (1) 現代社会においてデモクラシーの基盤となる市民を育成する〈教養〉思想の遺産は何か (2) 単なる知的教養ではなく、作法や礼儀など身体的な「型」にまで及ぶ〈教養〉思想の遺産は何か (3) 情報や商品を消費する生活人でありつつ、しかし同時に家庭や地域などの共同社会の再生に不可欠となる社会資本としての〈教養〉思想の遺産は何か)の観点から、注目に値する研究対象の選定作業を行う。 丸山眞男を取り上げた清水論文は、(1)と(2)に留意した論文であり、詳細な伝記的資料を駆使した丸山研究としての意義に加えて、政治空間の変容という切り口から、教養の重要な一要素である政治的知性のあり方を探究している。鏑木・井柳のそれぞれの学会発表は、(2)に関連した成果であり、ドイツやフランスの思想について、教養・人間形成という視点を意識しながら、宗教や文化の側面から探究を進めた論文である。徳に関する木村の論考は、(2)に直接に関連しており、「型」への関心から徳概念をめぐる思想史的展開を跡づけたものである。それはまた、(3)の視点につながる教養の身体性への関心にも及んでいる。竹島の二つの論考のうち、「例外状態」を扱ったものは、秩序を捉える政治的知性にも関連する研究である。また、後者は、今日の公民教育・市民教育という関心から、愛国心教育を取り上げたものであり、ナショナリズムの根にある生活レベルでの人間のアイデンティティや共同性をも問うという点で、(3)にも関連する研究成果である。
|