研究課題/領域番号 |
21320034
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研究機関 | 公益財団法人大和文華館 |
研究代表者 |
浅野 秀剛 公益財団法人大和文華館, 館長 (70511137)
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研究分担者 |
中部 義隆 大和文華館, 学芸部部長 (70416262)
宮崎 もも 大和文華館, 学芸部部員 (10416266)
田中 宗博 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (80217083)
西田 正宏 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (00305608)
河野 道房 大阪府立大学, 人間社会学部, 准教授 (90195678)
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キーワード | 美術史 / 国文学 / 物語 / 説話 / 絵画化 |
研究概要 |
本研究は物語や説話のどの部分がどのように絵画化されるかという問題について、分野を超えた視野から考察するものである。物語・和歌、説話・仏典、童蒙・勧戒系の三系統のテキストの絵画化がどのように行われるか研究し、その成果を共有することで、物語・説話絵画の全容を体系的に解明することを目指す。 「研究実施計画」に沿って二回の研究会を開催し、個々の研究の成果を発表し、研究状況を確認、問題点を共有した。特に平成23年度は5年間の研究期間の3年目にあたり、折り返し地点となることから、第二回目の研究会は、中間成果を発表するため公開研究会とした。三系統のテキストの中から、説話・仏典のジャンルに含まれる『徒然草』にテーマをしぼり、「徒然草の絵画化をめぐって-国文学と美術史の視点から-」と題して、国文学から二人、美術史から二人発表した。国文学の発表からは、徒然草の場面を絵画化した版本挿絵や絵巻・屏風に何がどのように描かれているかを詳細に読み取ることにより、当時の徒然草本文の理解・解釈のあり方がより明瞭になることが、具体例を挙げながら論じられた。美術史の発表では、絵画自体の影響関係に焦点があてられ、版本・肉筆絵入本の成立の前後関係が論じられた他、物語絵は本文の解釈を踏まえて描かれるだけでなく、絵画を受け持った絵師や工房の持つ絵手本の内より物語の内容に適したものが選択されることを考慮しなければならないことが、類似する画風から同一工房の作品と推定される物語絵を取りあげながら指摘された。発表後には、会場の質問も受け付けながら、問題点について意見を交換し、相互の分野における物語.説話の絵画化に関する研究方法のあり方・方向性について考えを深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個々の研究・調査を進めると共に、二回の研究会を開催した。特に第二回目の研究会は公開研究として、活発に意見を交換し、物語・説話の絵画化に関する研究における具体的な問題点や展望について相互に確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果を踏まえ、個々の分野の研究・調査を進めると共に、平成23年度は徒然草の絵画化に焦点をあてた問題意識を、他の分野にも広げ、物語・説話の絵画化に関する総合的な研究をより深化させる。 また、鈴鹿文庫の調査に関しては、最終年度の目録出版に向けて、具体的な目録の内容などについて決定し、目録作成の準備を進める。
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