研究課題/領域番号 |
21320036
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研究機関 | 東京芸術大学 |
研究代表者 |
籔内 直樹 (藪内 佐斗司) 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 教授 (10376931)
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研究分担者 |
副島 弘道 大正大学, 文学部, 教授 (20216576)
山本 勉 清泉女子大学, 文学部, 教授 (00150037)
武笠 朗 実践女子大学, 文学部, 教授 (30219844)
仲 裕次郎 東京芸術大学, 大学院・美術研究科, 非常勤講師 (00466997)
高宮 洋子 玉川大学, 芸術学部, 非常勤講師 (10334492)
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キーワード | 3Dデータ / 断面線 / 快慶的特徴 / 長岳寺阿弥陀如来坐像 / 平等院阿弥陀如来坐像 |
研究概要 |
最終年度は、マクロ的視点から、快慶の活躍した時代性を3Dデータ上から客観性を持たせるため、比較的時代の離れた作例や、明らかに快慶と異なる作例、すなわち運慶作例である静岡県願成就院蔵木造毘沙門天立像や、また3尺という法量のみ似通っている大阪府・道明寺十一面観音立像等の3Dレーザースキャナによる調査、および3Dデータの比較検証を試みた。 まず、奈良県・長岳寺阿弥陀如来坐像では、これまで計測を行った他の弥陀如来像の面相部・後頭部における起伏の変化を、正中位置の断面線を用いて比較検証した。すると、長岳寺阿弥陀如来坐像は、快慶、運慶、康慶作例よりも、京都府・平等院阿弥陀如来坐像の断面線に近いことが判明した。そのほか道明寺十一面観音立像では、3尺に纏められた慶派作品比率とは一線を画していることが明確となった。また尊格の異なる願成就院毘沙門天立像では、明らかに異なっていることが明示された。 次に面相部に限定して正中位置から得られる断面線の比較を行ったが、慶派の中では大きな違いはみられず、慶派と定朝様の違いしか、大きな差異は見いだされなかった。 そこで、鼻下を通る水平線での断面線を作成し、すでに明らかとなっている東大寺俊乗堂阿弥陀如来立像のこめかみの下周辺を深く彫り込む特徴が、そのほかの作例(慶派作例、長岳寺阿弥陀如来、平等院阿弥陀如来など)と類似するのかを、比較検証した。 その結果、大日如来坐像も含める快慶作例及び快慶風作例6例には、この深い彫り込みが共通して見られた。よってこの面相部の水平な断面線から得られる特徴が、快慶的特徴を示す可能性が高いことが分かった。
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