研究課題/領域番号 |
21320039
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金 大雄 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (90346859)
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研究分担者 |
岡田 義広 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 准教授 (70250488)
牛尼 剛聡 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (50315157)
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キーワード | ミュージアム / デジタルコンテンツ / 展示評価 |
研究概要 |
本研究は、次世代型博物館に向けたインタラクティブな自動誘導機能が付加された展示解説コンテンツと、その展示を効率的に評価できる展示評価支援システムの開発を目標としている。本年度は、九州国立博物館においてWEBサービス・閲覧行動評価システムの開発を行った。 本研究では子どもが特に興味を示しやすい「体験学習」に着目した。自宅でも体験可能な事前学習コンテンツを提案することで、博物館への興味や関心を喚起させることを目的している。また、WEBコンテンツを利用した事前学習・博物館での調べ学習・まとめを行う事後学習という三つのプロセスに一貫性を持たせた授業を行うことで、学習効果が得られるかを検証した。 「体験学習」と「デジタルコンテンツ」の二つの事項に着目し、本研究を進めてきた。博物館に来館する機会の少ない子供たちが自宅や学校で、デジタルコンテンツを利用した体験学習を行う。そうすることで、博物館へ興味を持つきっかけとなるのではないかという仮説の元、事前学習コンテンツの提案と学習プログラムの開発を行った。事前学習コンテンツでは、展示品に関する基礎知識を習得できること、WEB上で、行った気分になれると同時に、実際に行きたいという欲求も引き出せることとして、バーチャル体験型の事前学習コンテンツを制作した。 実証実験とそこで得られたアンケート結果から、デジタルコンテンツは子供が抵抗を抱かずに、博物館に触れるきっかけとなることが明らかとなったといえる。また、WEB上での来館体験を行うことで、さらに興味を喚起させることが可能となり、子供たちは自主的に学ぼうという姿勢を示していた。事前学習で見たり、調べたりしたという体験が来館した際の行動にもつながったと考えられる。本研究で提案した事前学習コンテンツおよび授業カリキュラムは、今後学校や自宅など様々な場所や場面での活用が見込めるものとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成21年度から着手した本研究は、基本設計と詳細設計を行い、その都度プロトタイプ開発と検証を行い、実用化に向けた研究を進めている。その成果として学会等での研究発表を着実に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度が本研究の最終年度となる。ミュージアムにおける問題点(若者のミュージアム離れ、ミュージアム担当者の負担など)を解決し、来館者の満足度を効果的に向上させるツールを開発した。このパーソナル・ミュージアム・コンシェルジュ(携帯型展示解説モジュール、展示評価モジュール、WEBサービスモジュール)の機能が密接に連携し、来館者の閲覧体験→閲覧後の展示評価→評価を踏まえた新たな展示プラン設計(展示デザイン構想)→一連のフィードバックという全過程の循環を可能とするため、博物館とより密接な議論を重ね、実用化に向けて検討を進めていく。
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