研究課題/領域番号 |
21320040
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研究機関 | 京都市立芸術大学 |
研究代表者 |
高橋 悟 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (30515515)
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研究分担者 |
石原 友明 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (60315926)
井上 明彦 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (30232523)
中原 浩大 京都市立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10326184)
中橋 克成 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (60309044)
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キーワード | 感性学 / 芸術諸学 / 生態学 / 医療福祉 / 宇宙科学 / ストレス / 都市工学 |
研究概要 |
「時間・空間」は、「人間」の経験を可能にする先験的な前提条件として位置づけられてきた。芸術、教育、環境、生命、医療などの諸領域は、これら近代に於ける「人間・時間・空間」という概念を基盤に発展してきたものと考えらるが、人類にとって「先端脳科学理論による心のしくみの解明」という新しい次元の経験は、従来の「人間・時間・空間」という概念の再構築を迫るものと考えられる。2009年度は、この「脳科学理論」によるヒトの認識構造の解明を中心に研究が進められた。京都大学医学研究科人間健康科学専攻の協力をえて、我々はプ0ロジェクトチームを立ち上げ、このような認識の変容に関わる様々な実験器具を作成して検証をおこなった。既に、重力の方向性と身体軸の感覚を混乱させる「二重軸回転板」や、身体に圧力を加えることで心理的安心感を与える「バグマシーン」などを考案し作製した。これらを用い感覚の統合、自己意識の変容、空間に於ける定位、身体図式など人間の経験と認識の構造の変容について、fMRIや脳波計を使用して実際に、脳内でどのような変容がおこっているかを計測する準備を進めた。特に、「二重軸回転板」は、直径8mの大型の回転装置の上での歩行と連動する脳活動を計測するもので、これには、最先端技術の携帯型の脳血流計測装置を使用した。上記の実験は、芸術表現だけの問題にとどまらず、例をあげるならぼ、発達障害児童の感覚統合の問題、認知症患者の行動失認、統合失調症における心身分離、子供の成長過程に於ける描画表現の変化など、さまざまな作業を通して治療を施す医療に向けても総合的なアプローチが可能になるであろう。2010年度では、これらの成果の公開発表として、京都国立近代美術館で「Trouble in Paradise:生存のエシックス」という展覧会を行うとともに、国際シンポジュームを開催して、多角的な視点から我々の研究を検討する。
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