研究概要 |
平成23年度は、本研究の主たる活動として、ワークショップを7回、国際シンポジウムを1回開催した。主な内容と参加者は以下の通りである。 1)2月18日、「中国絵画と観衆」:中国絵画史において観衆と絵画の関係がどのように変遷してきたのかを多角的に考察する。企画は小林宏光(研究分担者)。九州大学、東京大学から発表者を招いて開催。 2)5月28日、16-17世紀のスペイン及び新大陸における新たな観衆の形成や作品と観衆の応答関係を検討するワークショップを開催。企画は松原典子(研究分担者)。大阪大学から発表者を招いて開催。モデレーターは林道郎(上智大学) 3)7月9日、「美術・メディア・環境--日本の戦後美術と「観衆」の行方」:日本の戦後美術における大衆化状況を観衆論的な視点から考えるワークショップを開催。企画・モデレーターは林道郎。東京芸術大学、京都市立大学、府中市美術館から発表者を招いて開催。 4)9月9日、「Expenericing the Remake - Contemporary Stagings of Post-war Japanese Art」:日本戦後美術の作品の再制作問題を観衆論的視点から考えるワークショップを開催。企画は平澤キャロライン/林道郎。カールトン大学、慶応大学、ハーシュホーン美術館から発表者を招いて開催。モデレーターは林道郎。 5)11月12日、日本近世美術における地獄絵をめぐる諸問題を観衆論的立場から考察するワークショップを開催。企画は、平澤キャロライン。明治大学国際日本学部、兵庫県歴史博物館、立山博物館から発表者を招いて開催。モデレーターは米倉迪夫(研究連携者)。 6)11月25日、「CAUGHT BY THE IMAGE---New Perspectives on Audience in Art History」。これまでの成果を踏まえながら、美術史における観衆論的な視点の有効性と限界を問う国際シンポジウムを開催。企画・モデレーターは林道郎。School of the Art Institue of Chicago)、University of California, Santa Barbara、武蔵野美術大学から参加者を招いて開催。 7)11月26日、What Photography Is with James Elkins。招聘教授の著書で展開された写真論をめぐる研究会を開催。 8)2月6日(2012年)、Sites of Spectacle and Encounter: Animated Spaces, Mediated Cities, Curated Islands。80年代以降の建築、都市デザインと美術の関係を観衆論的視点から検証するワークショップを開催。企画は、平澤キャロライン・林道郎。 University of Washington, Harvard Univresty,Waseda Universityから発表者を招いて開催。モデレーターは林道郎。 これら7つのワークショップと1シンポジウムは、すべてビデオ・写真によって記録され、観衆論的な視座からのさらなる研究の推進のための資料として使われる。ワークショップ以外にも、定期的に会合を開き、それぞれの研究成果についての情報の交換・議論を進めてきた。また、各分担者においては、それぞれの研究分野に関する調査のために、国内・海外に調査旅行をあわせて数回実施した。
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