研究課題/領域番号 |
21320052
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
安田 文吉 南山大学, 人文学部, 教授 (80121474)
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研究分担者 |
安田 徳子 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (00135279)
山田 和人 同志社大学, 文学部, 教授 (60191300)
冨田 康之 北海道大学, 文学研究科, 教授 (20217540)
神谷 勝広 同志社大学, 文学部, 教授 (40233952)
飯塚 恵理人 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (00232132)
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キーワード | 歌舞伎 / 浄瑠璃 / からくり / 謡本 / 国学 / 堂上和歌 / 川喜田家 / 長井家 |
研究概要 |
本年度は、川喜田・長井両家の文献資料約2万点(商業資料を除く)の書誌データを、目録化するために整備、分類作業をほぼ終えた。経済的豊かさを背景に余暇を文芸や芸能の活動に投じていたのは、江戸時代商人全般の有り様で、川喜田・長井両家も同様であるが、川喜田家は文芸、長井家は芸能に力を注いでいたと思われる。その実態を明にすべく、資料の詳細調査・分析を研究分野別に進めた。 1,歌舞伎番付・絵尽・役者絵の写真撮影による資料収集を行い、番付約8000点と国貞の役者絵248点の調査・整理した。浄瑠璃本については、義太夫節の通し本63点、抜き本214点、道行揃1点、絵尽1点、関係書1点、他に宮古路節4点、宮薗節3点を確認、詳細な調査を行った。所蔵の絵尽を分析して、コマ割り・と配列の法則を考察した。文献ではないが、所蔵の座敷からくり(台付からくりの「三番叟」「頼光」「蹴鞠」、段返り人形の「十段返り」「三段返り」)について、個々の人形の動作と仕組みを詳細に調査・記録した。「蹴鞠」「十段返り」などは他に類を見ない貴重なもの。 2,謡本・能楽関係も写真による資料収集を進めた。伝烏丸光広筆謡本(観世流)以外は長井家の旧蔵品である。松坂辺は喜多流が盛んな地だが、喜多流以外にワキ方進藤流や観世流などの謡本があり、明治大正期の長井九郎左衛門が小鼓を趣味とし、流儀を越えた謡本を収集したことに拠るか。 3,近世韻文・散文資料は多い。伊勢は国学の地であり、川喜田家は本居宣長や谷川士清と関わりが深かったこと、川喜田爾然斎を筆頭に堂上和歌を学んだ者もいたことに拠る。川喜田千町・長井五鈴など、俳諧活動をした者がいたことも判明した。古典籍の貴重書、古筆切などは、茶道家であった川喜田半泥子が収集したものが多い。
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