研究課題/領域番号 |
21320058
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大石 和欣 名古屋大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (50348380)
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研究分担者 |
吉川 朗子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (60316031)
園田 暁子 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (00434564)
和氣 節子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (00248113)
藤井 佳子 奈良女子大学, 文学部, 非常勤講師 (70379527)
勝山 久里 京都造形芸術大学, 芸術学部, 教授 (00351362)
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キーワード | コウルリッジ / オリエント / 他文化 / 異文化交渉 / 多文化 / イギリス・ロマン主義 / 哲学 / 宗教 |
研究概要 |
本年度の前半は、7月16日(土)~18日(月・祝)に神戸で開催したコウルリッジ国際学会"Coleridge, Romanticism, and the Orient : Cultural Negotiations"における研究成果発表の準備および発表が主な共同研究内容であった。平成21年から進めてきた研究成果を各共同研究者の担当ごとにとりまとめて、国内外から招聘した講演者や応募発表した研究者とともに発表し、質疑応答を通してその内容と質を吟味した。その際に国内の関連する共同研究グループと共催することで、より幅広い視野からの検討を行うことが可能になった。ヨーロッパ中心の視点ではなく、アジアからイギリス・ロマン主義の作品・言説を読み直すことで18世紀から19世紀にかけて海外覇権を伸張していたイギリスが抱えた文化的な動揺と多様性が文学テクスト内に埋め込まれていることが明らかになり、とくにコウルリッジの「クブラ・カーン」には異文化の宗教的要素が包摂されているだけではなく、これまでの研究では分からなかった東洋における受容の多様性を含めて文化的なダイナミズムがテクスト内に埋め込まれていることが証明された。 後半は、この国際学会の成果を研究会において検証・再検討すると同時に、いくつかの優れた論文を取りまとめて国際的な学術雑誌を通して公開していく方向で研究を進めた。19世紀初頭における文化的な交渉と人的流動性・移動の問題についてはPoeticaの特集号を編集して論文を集めて12月末に公表した。また、次年度に渡ってコウルリッジとオリエントの関係性を哲学的な側面から検証する論文を集めた論文集を編集しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り7月に国際学会を主催し、その成果を検証し、公開する方向で研究が進んでいる。次年度ですべての研究成果を活字にするためにはかなりスケジュール的に厳しいが、可能な限り現実化していくべく研究のスピードを上げていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は予算が少ないので研究会を開催する回数を減らさざるを得ないが、eメール等を活用しながら各研究者の研究内容を検討しながら、学会誌への投稿などを通して活字化していく予定である。とくに北米や日本、アジアにおけるコウルリッジの受容の問題はまだ明らかになっていないため、それらについても可能な限り明らかにしていくことが目標である。
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