研究概要 |
15-16世紀にフランス語と英語で複数の版が刊行された挿絵入りの教訓書、『羊飼いの暦』の英語版(London, 1556)とフランス語版(Paris,1497)-慶應義塾図書館蔵-を主たる対象として、そのデジタル・エディションを充実させるとともに、同時期に刊行された時祷書刊本との比較研究を、その形態的特徴と内容比較の両面において進めた。『羊飼いの暦』に関する研究成果は、平成22年度中に刊行する予定である。さらなる書物史的比較研究の資料として、15世紀末に北フランスで制作された写本の時祷書について、その内容と挿絵の様式について調査し、その成果を刊行した。 慶應義塾図書館が所蔵する西洋神話学に関する初期刊本を対象として、詳細な書誌記述と所有者による書き込みの調査をおこない、そのコレクションの一部を11月に図書館にて展示、解説した。初期刊本の調査により、中世末期から17世紀にかけてのギリシャ・ローマ神話学の受容を書物史的視点から具体的に跡づけることができた。 慶應義塾図書館が所蔵する西洋貴重書のオンライン・データベースの発展構築に向けて、日吉メディアセンターが所蔵する貴重書の書誌調査を行い、コレクションの一部を用いて「中世主義」をテーマとした貴重書展を7月から8月にかけて開催した。
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