研究課題
本年度後半(平成23年9月)に、王寺賢太・京都大学准教授(研究分担者)と佐藤淳二(研究代表者)が中心となって、北海道大学において、ワークショップを兼ねた研究成果報告会を開催した。この会には、戦争と革命の研究の第一人者である市田良彦(神戸大学教授)と廣瀬純(龍谷学園大学専任講師)の参加を得て、啓蒙期以降のヨーロッパの戦争と平和のイメージについて多角的に論じることに成功した。戦争論平和論が、カントによって集大成されたという従来の正統的主流派的な戦争平和論の解釈は、民衆の広汎な蜂起を考慮しないという点で一面的であるという批判において、参加者の意見の一致を見た。翻って、われわれの研究課題に即していうならば、問題は、「生」という不定型で極めて情動的な存在である民衆が、「人口」や「生殖行為」という解釈の格子をあてられて整序され、統治されていくという点にある。この観点からこそ、啓蒙期の戦争と平和の理論と表象は全面的に論じ直されるべきなのである。これまでの本課題の研究を公開すべく、鋭意、それぞれの分野(ルソーの戦争論、素ピザ以降の民衆像をブーランヴィリエとディドロ、レナールなどのテクストを通して展開すること、そして、平和の統治と「習俗」すなわち生の形態形式化の問題)で執筆が進んでいる。ルソーの草稿「戦争法論」という断片のヴァリアント研究(これはフランスですでに ブリュノ・ベルナルデと京都大学でワークショップを開催して国際的にも交流を深めているので、第一部を、ルソーの断片の草稿を翻訳とその解釈にあて、(佐藤淳二)、第二部として、1)主権論(佐藤担当) 2)戦争と啓蒙の歴史観(王寺担当) 3)習俗論(戦争と平和は人民の生活・文化全般と関わる国家論、社会論、辻部と富永担当) によって原稿段階にあり、来るべき公開促進のための出版事業補助をいずれかで受けるべく、申請を準備に入っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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現代思想
巻: 第40巻-13号 ページ: 56-69
巻: 第40巻-13号 ページ: 86-101
別冊情況思想理論編第1号
巻: 1 ページ: 155-174