研究課題
1.非中心におけるロシア文化を研究するにあたり、今年度はロシア亡命文化を重点的に取り上げた。2011年11月19日、20日に同志社大学で国際研究集会「亡命と芸術-異境のロシア文化」を開催し、中国チチハル大学から、中国における亡命ロシア文学の第一人者である李延齢教授、ロシア映画芸術科学研究所から亡命ロシア映画の専門家ナタリア・ヌシノヴァを講師として招聘した。研究集会では研究代表者である望月、研究分担者である諌早、協力者である塚田力の他に、ロシア人研究者3名(メーリニコヴァ、マリコヴァ、スレイメノヴァ)も報告を行った。従来、ヨーロッパのロシア亡命文学研究に重点が置かれてきたが、中国・日本における亡命者の状況と活躍、さらに文学以外の映画・宗教等の分野にも視野を拡げたこと、中国・ロシア・日本の研究者が共同研究に着手したことが、成果として挙げられる。国際研究集会の成果は2011年3月にロシア語による研究報告集として出版された。なお辺境におけるロシア文化研究も進め、報告集にはサハリン大学のヴィソコフやイコンニコヴァの論文を収録した。2.本科研メンバーは海外での現地調査も積極的に行った。研究代表者の望月は4月から5月にかけて、モスクワ、オリョール(特にブーニン記念館)、トゥーラで現地調査・研究交流を行った。分担者の谷古宇は2011年ウラジオストックのロシア美術家同盟支部で作品調査を行った。研究協力者の宮川絹代は、エレツ大学で開催された国際学会「I.A.ブーニンと21世紀」において研究報告を行った。研究協力の成果として、エレツ大学教員と宮川の共同論文を、上記の研究報告集に収録した。第一次ロシア亡命文学の中心人物であるブーニンの故郷の記念館および大学との交流は、以前から行ってきたが、論文や研究報告等の成果に結びついた。
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辺境と異境-非中心におけるロシア文化の比較研究
巻: No.2 ページ: 32-39
巻: No.2 ページ: 40-47
北海道大学文学研究科紀要
巻: 第132号 ページ: 45-67
巻: No.2 ページ: 100-114