研究代表者と分担者のあいだの連携のもとに「語り」についての研究のアプローチと具体的方法について、種々打ち合わせをおこなった。この三者において、日本の旧植民地において、日本がいかに語られているか、特に朝鮮・台湾における日本の存在に関してどのような歴史的記憶が文学作品に反映しているのか、現代の歴史状況においてどのような苦難の語りがあり、それがどのような文学表現となって結実しているのか、在日韓国・朝鮮人の体験が文学においてどのような語りとして実現されているのか、などが主要な関心として共有された。このような研究遂行上の認識にたって、まずは平成21年12月5日に、韓国外国語大学校との共同研究として、日韓共同シンポジウム「日本を見る視点」を東京大学で開催した。参加者は韓国外国語大学から4名、東京大学から5名、国内他大学から1名、それから研究分担者の李建志であった。また、これに先だっては、研究分担者の宮本久雄の企画により、上智大学で「いのちと共生の語り-黄ソギョン文学をめぐって」が行われ、菅原が研究報告を行った。米国議会図書館での調査は、諸事情により延期せざるを得なくなり、これは22年度において、開始することになった。
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