研究課題/領域番号 |
21320068
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
大野 圭介 富山大学, 人文学部, 准教授 (30293278)
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研究分担者 |
石川 三佐男 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (70222974)
谷口 洋 奈良女子大学, 人間文化研究科, 准教授 (40278437)
澁澤 尚 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (60344826)
田宮 昌子 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (70316199)
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キーワード | 中国文学 / 楚辞 / 楚文化 / 国際研究者交流 / 中原文化 / 出土資料 / 戦国期 / 先秦 |
研究概要 |
初年度は書籍の購入など環境整備に努める一方、国際学会等への参加によって国際共同研究実施への地ならしを行った。まず石川が5月に蘇州大学・浙江大学・上海大学・清華大学・北京語言大学で学術交流や講演を行い、10月には中国・深〓にて開かれた楚辞国際学術研討会に大野・石川と野田雄史・矢田尚子・中村貴・田島花野(以上4名は協力者)が出席して、次の成果を発表した。(1)文献資料研究:「九章」諸篇に見られる、従来屈原と解されてきた主人公の彷徨に「離騒」「九歌」等と同様の宗教的な要素が多分に見られることを論じた(大野)。これまで研究の少ない「卜居」を、その問答形式に注目して分析した(矢田「関于《卜居》鄭〓尹的台詞」)。『左伝』と『楚辞』に見える「強死(非命の死)」を、楚の巫風との関係から論じた(中村「楚人与《楚辞》中的"強死"研究」)。(2)出土資料研究:王逸『楚辞章句』の注釈研究である黄霊庚『楚辞章句疏証』について、出土資料研究の立場から批評を加えた。(石川)(3)新しい研究手法の模索:中原と楚の詩型の違いを、松浦リズム論の観点から考察した(野田「従松浦節奏論觀點探討楚辭諸篇的節奏」)。「招魂」「大招」に描かれる事物や畳韻字による表現を計量的に分析した(田島「関于《招魂》与《大招》的四方描写」)。この他、谷口は「九歌」との関連が考えられる郊祀歌十九章(『漢書』禮楽志)の訳注を作成し、全体の半ば近くまで進んだ。また澁澤は準備作業として、武田科学振興財団・杏雨書屋にて敦煌文書を含む本草学・医学関連書の調査を行った。田宮は後漢王逸『楚辞章句』の考察から導き出した「離騒」テーマ語彙について、朱熹『楚辞後語』をテクストに検索作業を進めた。研究協力者・吉冨透は石川と共に北京大学蔵漢簡に見える楚文化及び道家との関連性から、『楚辞』の再考に及ばねばならないことを指摘し、また上博楚簡『容成氏』と「天問」との比較研究を進めている。
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