研究課題/領域番号 |
21320068
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
大野 圭介 富山大学, 人文学部, 准教授 (30293278)
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研究分担者 |
石川 三佐男 秋田大学, 名誉教授 (70222974)
谷口 洋 奈良女子大学, 人間文化研究科, 准教授 (40278437)
田宮 昌子 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (70316199)
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キーワード | 中国文学 / 楚辞 / 楚文化 / 国際研究者交流 / 中原文化 / 出土資料 / 戦国期 / 先秦 |
研究概要 |
昨年度は全体の活動として、海外研究協力者である黄霊庚・湯〓平・徐志嘯の3氏を日本に招聘し、12月1日の富山大学におけるシンポジウム及び12月4日の東京大学における中国出土資料学会において講演を依頼し、会議及びその前後の期間において学術交流を行なった。 メンバー個別の活動は次の通りである。 1.伝世資料から見た楚文化と中原文化 谷口は、漢郊祀歌十九章を「九歌」との関連に注意しながら読解し、全体の約4分の3について訳注を作成するとともに、その成立についてメンバーと意見を交換した。大野は、『史記』に残された伯夷の歌が『楚辞』懐沙と形式内容の両面で共通点をもつ等、中原の歌謡と『楚辞』の距離が従来思われていたほど遠くはないことを指摘した。研究協力者・矢田尚子は、これまで研究の少ない「漁父」を取り上げ、そこに描き出された屈原像について考察した。研究協力者・中村貴は、地域空間としての"荊楚"について、『荊楚歳時記』に拠りながら族名・国名から地域名称への史的変遷を踏まえて考察した。 2.出土資料から見た楚文化と中原文化 石川は、古代楚王国の天命招来問題の文学的来源は春秋末成立の天問篇の「帝詞」であり、楚辞諸篇が政治的な作品であることを突き止めた(発表予定の学会が東日本大震災で延期のため未発表)。研究協力者・吉冨透は、『楚辞』・戦国楚簡・上博楚簡『三徳』の比較検討により楚文化の特徴を考察し、また楚簡『容成氏』と漢代経学の問題を考察した。 3.『楚辞』研究の新手法 田宮は、後漢王逸『楚辞章句』全巻についての考察をまとめ、『楚辞章句』が提示する屈原イメージの祖型を確認した。研究協力者・田島花野は、招魂篇と大招篇に共通する東西南北の四方描写を、品詞や表現の具体性に着目して比較検討した。研究協力者・野田雄史は、楚辞諸篇の特殊な押韻法による分析の集大成として、全体の押韻状況を検討した。
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