研究課題/領域番号 |
21320070
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高田 時雄 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60150249)
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研究分担者 |
辻 正博 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30211379)
玄 幸子 関西大学, 外国語学部, 教授 (00282963)
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キーワード | 中国語 / 敦煌学 / 写本学 / 中国史 |
研究概要 |
人文科学研究所における高田の主催する研究班、およびそれと連携しつつ独立して定期開催している俄蔵敦煌文献研読会の例会を通じて、ロシア所蔵の敦煌吐魯番文献に対して個別的検討を加えるとともに、既刊目録の補訂をおこなうべく各種文献情報の収集を行った。また昨年度に、ロシア科学院東洋写本研究所(サンクト・ペテルブルグ)の協力の下、研究代表者、研究分担者、研究協力者計6名が参加して開催したSecond Meeting of the Roundtable "Talking about Dunhuangon the Riverside of the Neva"(第二屆円卓会議"浬瓦河邊談敦煌")の論文集を、英・中二言語版として公刊した。研究成果はまたこの論文集とは別に、高田が主編する『敦煌寫本研究年報』第6号にも掲載され、ネット上でも公開されている。 高田がロシア及び中国、台湾へ、辻が中国、玄が台湾でそれぞれロシア所蔵写本との比較綴合を目的として調査を行うとともに、各地の敦煌吐魯番写本研究者と研究上の意見交換を行った。また研究代表者及び分担者は、それぞれ外国において招待講演及び学会発表を行い、あわせて今後の国際連携に関する計画を打ち合わせた。幸いに9月まで分担者であった永田知之が、ドイツ・ハンブルグ大学の写本文化センターの研究員として赴任したので、今後ロシア所蔵写本の研究にも国際的な連携を図るつもりである。 また俄蔵敦煌文献研読会の活動とも連動しながら、ロシア所蔵敦煌吐魯番寫本の異体字データベースを作成しており、一定分量のコンテンツが蓄積されたので、近く公開する予定である。これはロシア所蔵写本の読解にきわめて有用であるのみならず、広く敦煌吐魯番写本及び中国中世写本を読み解く上でも参考になるはずである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初考えられた主たる研究目的は、出来る限りロシア所蔵写本の原本を調査することにより、メンシコフ目録の不備を補い、訂正を加えることであった。その目的は、高田が仲介して2009年に京都で開催した展覧会、ロシアサンクトペテルブルグにおけるワークショップをふくめた、さまざまな調査の機会を利用し、それを俄蔵敦煌文献研読会において共同で研究することにより、相当数の文献に重要な訂正及び新しい解釈をもたらすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
いわゆる麻袋文書については、所蔵されるロシア科学アカデミー東洋写本研究所において修復作業が行われている段階で、その目録化にまでは到っていない。しかし高田は同研究所の協力によって、修復の完了したものについては閲覧をゆるされ、おおよその内容を把握することができた。今後、全面的な修復をまって該研究所との共同研究を進めていきたいと考えている。
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