本研究は、宋代の文学者が編纂した宋代詩文の総集(アンソロジー)についてその文学史的意義を明らかにし、現在流伝している総集の版本に関して基礎的調査を進めるものである。このことについて、22年度は、今日の中国古典文献学に欠かせぬ基本資料で、かつ清朝考証学の精華ともいうべき『四庫全書総目提要』の宋代総集の提要を、筧文生・立命館大学名誉教授(60066628)が加わる研究会の形で解読した。 22年度の『四庫全書総目提要』解読研究会は12回で、とりあげた提要は以下のとおりである。『妙絶古今』四巻 編者不詳、『江湖小集』九十五巻 伝宋・陳起編、『江湖後集』二十四巻 宋・陳起編、『論学縄尺』十巻 宋・魏天応編、『呉都文粋』九巻 宋・鄭虎臣編、『古文集成前集』七十八巻 編者不詳、『文章規範』七巻 宋・謝枋得編、『月泉吟社』一巻 宋・史渭編、『蘇門六君子文粋』七十巻 伝宋・陳亮編、『十先生奥論』四十巻 編者不詳、『詩家鼎臠』二巻 編者不詳、『両宋名賢小集』三百八十巻 伝宋・陳起編。 さらにこれらの宋代総集について、国内外の善本所蔵機関への佚存調査を行い、編纂者の伝記と版本に関する基礎研究を行った。国内では静嘉堂文庫と内閣文庫、海外では台湾の国家図書館および故宮博物院文献図書室などに出張し、宋元版や明版の宋代総集について調査を行った。
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