研究課題/領域番号 |
21320071
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
野村 鮎子 奈良女子大学, 文学部, 教授 (60288660)
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キーワード | 『四庫全書総目提要』 / 宋代文学 / 総集 / 『四庫全書』 / 版本 |
研究概要 |
本研究は、宋代の文学者が編纂した宋代詩文の総集(アンソロジー)についてその文学史的意義を明らかにし、現在流伝している総集の版本に関して基礎的調査を進めるものである。このことについて、23年度は、前年度に引き続き、『四庫全書総目提要』および存目提要に著録されていない宋代総集について資料を蒐集し、その序文などの解読を筧文生・立命館大学名誉教授(6066628)とともに行った。解読は研究会方式で行い、ほぼ1週間に1度(8月と2月は休み)のペースで計39回行った。23年度の『四庫全書総目提要』解読研究会は15回で、とりあげた宋代総集の提要は以下のとおりである。『二李唱和集』宋・李〓・李至撰、西湖蓮社集』一巻 伝宋・省常編、『三蘇先生文粋』七十巻、『懐楽安?公唱和詩』(佚)、『会稽唱和集』(佚)、『汝陰唱和集』(佚)、『西江集』(佚)、『梅苑』一百九十九巻 宋・黄大輿編、『文髄』九巻 宋・周応龍編、『観瀾文選』六十三巻、『宋百家詩選』五十七巻 宋・曾慥編、『五家宮詞』(佚)、『十家宮詞』(佚)、『二家宮詞』(佚)、『楽府雅詞』三巻・『補遺』一巻 宋・曾慥編。 大学休業期間は宋代総集について、国内外の善本所蔵機関への佚存調査を行い、宋元版や明版の宋代総集版本の序文などの基礎資料を蒐集した。国内では内閣文庫、静嘉堂文庫、海外では、主に台湾の故宮博物院文献図書室と北京国家図書館に赴いた。 また、四庫提要の評価を通じて、宋人総集の文学史的意義を考察した論文「『四庫提要』にみる宋代総集評価」を成果の一部として発表し、さらに秋には、これまでの個々の宋代総集についての研究内容を整理して、研究成果公開促進費(学術図書)に申請した。幸いにこれはH24年4月に交付が内定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、『四庫全書総目提要』および存目提要に著録されていない宋代総集について資料を蒐集し、その序文などの解読を筧文生・立命館大学名誉教授(6066628)とともに行った。また大学休業期間を利用して、宋代総集について、国内外の善本所蔵機関への佚存調査を行い、宋元版や明版の宋代総集版本の序文などをの資料を順調に蒐集している。また、これまでの成果をまとめて著書の形で斯界に問うために、H24年度の研究成果公開促進費(学術図書)に応募したところ、幸いに申請内容が採択された。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画どおり、『四庫全書総目提要』の解読注釈作業を続行し、版本調査については、近年、中国で出版された祝尚書『宋人総集敍録』中の、実際の版本を確認せず執筆されたとおぼしき箇所を中心に、その誤謬を訂正するために、国内では静嘉堂文庫、国外では南京図書館、上海図書館への調査に赴き再調査を行う。さらにこれまでの研究成果をまとめ、H24年度研究成果公開促進費(学術図書)にて『四庫全書宋代総集研究』を出版するべく、最終的な原稿の点検を行い、入稿後は校正作業に力を注ぐ予定である。
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