研究課題/領域番号 |
21320072
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
李 建志 関西学院大学, 社会学部, 教授 (70329978)
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研究分担者 |
金川 由紀 平安女学院大学, 国際文化学部, 准教授 (50233846)
上水流 久彦 県立広島大学, 地域連携センター, 助教 (50364104)
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キーワード | アイヌ / パラオ / 開拓移民 / マイノリティ / 台湾 / 先住民 / 少数民族 / 観光 |
研究概要 |
当該年度の研究は、主に調査に絞って行われた。特に、パラオから帰国した開拓移民の日本帰還後の聞き書きの収集は、今まで研究の前例がないため、相当な意味があるといえる。その調査でも、視点としてはマイノリティ化する先住島民の問題、あるいは大日本帝国内のマイノリティとしての朝鮮人、台湾人、沖縄県人などについても深く追及しているため、移民者たちの世界がどのようにつくられていたのかを立体的に把握することが可能となった。これらの調査実績は、最終年度である2011年度に学会などで発表する予定で、2010年度の研究はそのための準備と研究枠組みの補強を行ったことになる。また、台湾での研究が着実に実を結んでいることをふまえ、我々はこの研究の枠組みについて、アイヌの立ち位置を明らかにすることを第一としつつも、アイヌが大日本帝国の各地のマイノリティとどのような関係にあるかという構造を明らかにするかたちでこれからは研究を進める方針を固めることができた。パラオからの日本帰還者たちがパラオに移民する以前、一度は北海道に移民し開拓を行ったが、失敗していたという事実は、北海道が当時の日本においてどのような位置づけにあったのかを知るために役立つものだ。それだけでなく、その北海道の開拓地が、ほんらいはすべてアイヌのものであったことを考えると、土地にかかわる大日本帝国の意識をさらに掘り下げていくことができるといえ、そのための基礎的な作業として昨年度の研究は位置づけられる。
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