研究課題/領域番号 |
21320073
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
管 啓次郎 明治大学, 理工学部, 教授 (00328965)
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研究分担者 |
林 ひふみ 明治大学, 理工学部, 准教授 (20514152)
倉石 信乃 明治大学, 理工学部, 准教授 (10459993)
清岡 智比古 明治大学, 理工学部, 准教授 (60514148)
波戸岡 景太 明治大学, 理工学部, 准教授 (90459991)
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キーワード | 比較文学 / 文化人類学 / 英米文学 / 外国文学 / 中国文学 |
研究概要 |
ヨーロッパ系文化の進出による地域文化の変容が、いかに「現代」の世界文化の基層をなしているかを考察する本プロジェクトは、なかでも、「クレオリザシオン」(クレオル化)の概念を、オセアニアからアジアまでの各地域文化研究に援用することで、大きくはポストコロニアリズム批評の概念自体を更新することに成功した。東アジア地域については、主に台湾映画に見られる、多数者母語と少数者言語の新たなる関係図の分析を出発点とし、日・中・台の「現在」をクレオル化という観点から理解することを可能にした。また、同地域の沖縄研究に関しては、写真に表現された沖縄を分析の中心に、写真家とキュレーターの相互交渉から生み出される沖縄表象の意義を明確にした。オセアニア地域に関しては、「パン・ポリネシア文化」の諸相をフィールドワークによって蒐集・分析し、文字テクストとしては表象されない文化形態をテクスト化することに成功した。フランス語圏地域については、映像表現にみられる「移民」の存在に着目することで、パリおよびモントリオールという「都市」の表象に、前世紀と今世紀のあいだで大きな断絶が生じていることを発見した。南北アメリカ地域については、1970年代のポストモダニズム的思考実験と、1980年代以降のミニマリズム的文学実践のはざまに胚胎した、極度のローカリズムとグロバーリズムの融合としてのヒップホップ文化に着目し、人種混淆とそれへの反発が、いかに現代のクレオル化を独特なものにしているかを明らかにした。このように、従来の北米アカデミズム型ポストコロニアリズム批評に代表される、文化輸出入の一環として日本に流通されてきた批評理論を今一度見直すことを目的として本プロジェクトは、文化研究そのものが持つダイナミズムを、世界各地の地域文化研究に持ち込むことに成功したと言える。
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