研究概要 |
本年度は前述の目的を達成するために,音声,文法,談話の言語的要因と話者特性および発話スタイルの社会的要因を「原因」,ディフレージングの生起/不生起を「結果」とした因果モデルを仮定して音調句の言語変化の様相をとらえる調査を計画実施することを目指していた。 当初の計画では,(1)調査内容の策定(4月~7月)(2)各調査地点での予備調査と調査内容・方法の決定(8月~9月)(3)本調査・資料収集・音調分析の開始(10月~1月)(4)調査中間段階での確認(12月)(5)年度末のまとめと次年度計画の確認(3月)(6)成果発表(3月)と進む予定だったが,(1)調査内容の策定段階で,いくつかの発話スタイルを「自然に」とらえるためにはどうすればよいかという議論にかなりの時間を費やし,また(2)予備調査およびその結果の分析での試行錯誤を繰り返したため,結局今年度は計画中の(1)と(2)が中心となり,(3)と(4)へ進むことはできなかった。調査で取り上げる音調面の変異については,当初考えていたディフレージングだけでなく,ダウンステップも含めて検討することとした,(6)は第25回社会言語科学会研究大会において本研究の全体構想について発表する形で実施した。また(5)は(6)の際にあわせて行っている。 また今年度の調査計画策定において困難を極めたものが話者にかんする調査項目の策定である。これについては本研究グループ外の研究者との協力関係を模索する中である程度の目安がついたが,それに伴い,今後の調査内容は大幅な修正が必要となる。(その内容については公表することは現段階では控えたい。)次年度はあらためて調査計画を見直すところから始めることにする。
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