研究概要 |
研究代表者の遠藤は,博士論文を改訂して2007年にJohn Benjamins社より出版した。しかし、そこでは、海外には知られていない優れ日本語学の研究成果を取り込むことが出来なかった。そこで、日本語学の研究をカートグラフィーの枠組みで洗練し,国際会議等で発表することを目指した。そしてその成果を日本に持ち帰り,日本語学と英語学の垣根を越えた相互研究を狙い、海外から招聘した研究者とワークショップを行うことで目標を達成することを目指し、それを最終的には出版して,社会の成果を還元するのが,目標であった。 研究内容の具体例としては,日本語学の優れた研究の中で,主文と複文に関係するものを広く取り扱うことをめざした。 枠組みに関しては,カートグラフィーを採用した。これは、ヨーロッパで1990年代に開始されたプロジェクトであり,その特徴は,記述中心のシンプルな枠組みであるために,生成文法にあまり精通していない日本語学の研究者にも理解しやすいというメリットがある。カートグラフィーの趣旨は,機能語を中心として,音と意味をストレートに結びつけながら、豊かな統語構造を地図のように詳細に描くという考えで,野田尚志や益岡隆志による日本語学の研究でも既にこの種の考えは採用されており日本に馴染みやすい枠組みである。この利点を生かして,日本と海外の言語学の繋がりと日本語学と英語学の繋がりを強くすることを目標とした。
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