研究課題/領域番号 |
21320081
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
川越 いつえ 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (30177662)
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研究分担者 |
窪薗 晴夫 人間文化研究機構・国立国語研究所, 理論・構造研究系, 教授 (80153328)
松井 理直 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00273714)
田中 真一 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 准教授 (10331034)
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キーワード | 促音 / 日本語 / 英語 / 外来語 / イタリア語 / 生起位置 / 知覚実験 |
研究概要 |
日本語外来語に見られる促音の生起条件とその条件の背後にある言語学的原理を音声実験、音韻理論の両面から考察した。 1.英語においてChapterのように語中に阻害音が連続する場合とChaplinのように阻害音+共鳴音の連続の場合に、日本語話者による促音知覚率が異なることを英語風ナンセンス語を用いた実験で示した。後者の促音知覚率が高い。実験では、語末のCVCを入れ替えた刺激語を使用し、この促音知覚率の違いが第1母音の後の阻害音の長さにあることを示した。 2.外来語の促音に見られる位置の制約(positionalconstraint)を説明するために、音響実験と知覚実験を実施した。促音が語末近くに現れやすいという傾向が純粋に「位置」という音韻構造に関わるものか、それとも原語の音声特徴によって決定されるかを検討した結果、後者であるという実験結果を得た。この結果を英文論文にまとめ、国際学会で発表するとともに国際誌に投稿した。 3.外来語の促音の中で、特に特異な振る舞いを見せる無声摩擦子音(サ行音・シャ行音・ハ行音)の振る舞いについて、音響的な研究(音響分析および合成音の作成)と知覚実験を行い、無声摩擦音の促音知覚に持続時間と共にフォルマント遷移が強い影響を与えることを見いだした。またこの知見に基づき、知覚的制約を導入した最適性理論の枠組みを用いて、借用語における促音生起・促音抑制が理論的にも適切に説明できることを示した。(松井) 4.イタリア語からの借用語における促音生起について、日本語話者の知覚との関係を明らかにすべく、引き続き、知覚実験の分析を進めた。促音知覚において、イタリア語のアクセント位置との対応(アクセント前後の子音が伸長し、促音知覚の行われやすくなること)が明らかになった。(田中)
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