研究課題/領域番号 |
21320085
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
長田 俊樹 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (50260055)
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研究分担者 |
大西 正幸 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト上級研究員 (10299711)
高橋 慶治 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (20252405)
児玉 望 熊本大学, 文学部, 教授 (60225456)
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キーワード | 南アジア諸言語 / 言語領域論 / 言語類型論 / 南アジア言語地図 |
研究概要 |
本研究では、「南アジア言語領域論」を検証する。南アジアの諸言語は、歴史的観点から、インド=アーリヤ、ドラヴィダ、ムンダ、そしてチベット=ビルマの4つの言語グループに大別できるが、言語接触の結果、こうした語族を横断した共通の特徴を有するようになったとされる。こうした地域特徴は「南アジア言語領域論」として議論されてきた。本研究ではこの「南アジア言語領域論」を地域特徴と類型論の二つの方向から批判的に検証する。 平成23年度の重点課題は「複合動詞」であった。大西がインド・アーリヤ語族のベンガル語の調査を、高橋がチベット・ビルマ語族のキナウル語の調査を、児玉がドラヴィダ語族のテルグ語の調査を、それぞれ行った。また、研究代表者の長田もジャールカンド州ラーンチーで調査を行った。複合動詞をとくに取り上げてまとめるのではなく、最終年度に、これまでの「感情語」「与格主語」と一緒に、日本語による文法概略としてまとめて記述し、それを本研究の成果とすることで研究代表者、分担者ともども理解しているので、24年度の成果報告として、すべてを織り込む予定である。 本年度の研究成果としては『南アジア言語地図』(Language Atlas of South Asia)をハーバード大学から出版したことである。この言語地図は南アジア諸言語の分布を、インドのセンサスはじめ、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカのセンサスデータをGIS上で表示したもので、言語領域論の地域特徴を論じる際には必ず基本となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では南アジア諸言語の地域特徴ごとに、それぞれの成果を出す予定であったが、それぞれの特徴を織り込んだ文法概略をまとめる方向で研究目的の若干の修正を行ったため、地域特徴の研究だけをみると、やや遅れていると認めざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
上でも書いたように、当初はそれぞれの地域特徴についての論考をまとめて、最終年度には国際シンポを行う予定であったが、国際シンポを行うよりは日本語でこうした地域特徴を織り込んだ、インドの語族の違う言語の文法概略をまとめることの方が有意義であると言う認識で一致し、この文法特徴を24年度いっぱいで、書き上げる予定である。
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