研究課題
『全国方言文法辞典』のための調査・研究として、以下の作業を進めた。1.条件表現・逆接表現の共通調査項目を作成した。この作業は、最終的な辞典項目記述において、接続関係、意味用法などの記述の枠組みを設定する作業につながるものである。検討の結果、条件表現は79項目、逆接表現はケレドモ・ノニ類25項目、テモ類46項目の調査項目を設けることとした。2.条件表現・逆接表現の辞典記述対象項目と共通調査要地方言の選定を行った。選定のため、国立国語研究所編『方言文法全国地図』の関連図の略図を作成し、分析を行った。その結果、条件表現については、カラ・ギー・ゴッタラ・ジャー・タッキャ・タシノ・タト・タバ・ダバ・タラ・ト・トキ・トサイガ・ナラ・ナバ・ネー・(-a)バ・(-e)バ・(-o)バ・テワ、逆接表現については、ケレドモ類:ガ・ケレドモ・シガ・ダドモ・ド(已然+ド)・ドモ・バッテ・ママイ、ノニ類:準体助詞+ニ・準体助詞単独、テモ類:カテ・タッテ・テモ・バンマイを記述対象項目とし、それぞれの形式を使用する要地方言を選定した。3.共通調査データのウェブ入力システムを構築した。本研究では異なる調査員が行った現地調査の結果を利用して辞典項目の記述を行うため、調査データは、誰でも利用できる形、すなわちデータベース化する必要がある。そこで、各地で調査を行った調査員がWebサーバーにアクセスし、調査結果報告のフォームに調査結果を入力、入力されたデータは即時にデータベース化されていくシステムを構築した。システム構築の成果を報告するものとして、情報処理学会第72回全国大会(2010年3月9日、東京大学)において、「Web版「全国方言文法辞典」の構築に向けて 調査データの報告システム開発について」と題して口頭発表を行った。
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