研究概要 |
発音を自学自習するための効果的な方法を様々な角度から追究し,得られた成果を元にインターネット教材を開発するために,本年度は,以下の作業を行った。 (1) 音声認識エンジンの基礎データとしての,米国日本語学習者の発音の収録 (2) 上記(1)を学習させた音声認識エンジンおよびプロソディ調整ツールの開発 具体的には,まず,米国でよく用いられる初級教科書から例文200文+αを選定し,スタジオで日本人のモデル音声を収録した。学習者の音声収録は,録音機器に向きあう機械的作業になることを避けるため,PC上で発音練習をするような画面を操作させ,モデル発音を聞いて文字を読み上げる仕様にした。このためのPCによる音声収録ツールを開発し,7月半ばから8月半ばにかけて,米国ミドルベリー大学で,100名弱の200文音声を収集した。そして,このデータを基に,音声認識エンジンAmiVoiceを使用して発話情報から自動的に発音の正誤物定を行うソフトの試作版を開発した。 収録において,データ収集対象者が初級であったため,モデル音の音情報を保持できず文字を読んで終わっているケースが散見された。次年度は収録方法を改善するなどして質の高いデータを収集し,ラベリング作業(収録音声を聞き,発音を評価する作業)を行ってプロソディ認識エンジンの性能を高めること,そしてプロソディ調整ツールを試用して操作の容易性を向上させることが課題である。また,学習者への効果的なフィードバックおよび学習者の発音能力の伸長を記録・参照するためのシステムの開発や,発音評価方法の妥当性・信頼性を高めるための基礎研究を行うことも,次年度の課題である。
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