研究概要 |
発音を自学自習するための効果的な方法を様々な角度から追究し,得られた成果を元にインターネット教材を開発するために,本年度は,前年度に引き続き,以下の作業を行った。 (1)音声認識エンジンの基礎データとしての,米国日本語学習者の発音の収録 (2)上記(1)を学習させた音声認識エンジンおよびプロソディ調整ツールの開発 具体的には,前年度の収録作業で問題となった,例文の難度の高さを解決するべく,在米日本語教師2名の協力を得て,大学で日常よく用いられる例文を再選定,スタジオでモデル音声を収録し直し,7月に米国ミドルベリー大学で,例文200文およびアクセント認識用データ150語を収集した。収録ツールは,前年度の発音練習ソフトを改良したものを用いた。このデータを基に,音声を自動的に分節し,母音・特殊拍個所で音節の高さを示す学習用ソフトを開発した。このソフトをパデュー大学学生に試用させ,その結果をハワイATJで学会発表した。試用の結果,例文の呈示方法,韻律情報の表示方法やフィードバック方法の改善に向けて,具体的な改善すべきポイントが明らかになった。 次年度は,さらにラベリング(韻律の分析評価)を継続し,認識エンジンの性能を高めること,学習者の発音能力伸長の記録・参照システムを開発し,ソフト操作の容易性を向上させること等が課題である。また,アメリカ人向け教材開発で得られた成果をもとに,インドネシア人看護師・介護士向けの例文選定および音声収録・分析を行い,教材化する予定である。学習者自身の声をモデル発音の高さ・長さに変換して聞かせる技術の開発も,さらに進める。
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