研究概要 |
シャドーイングは近年外国語教育の現場で注目され,中学・高校から大学の授業まで広く実践されるようになっている。シャドーイングの出来を評価する方法として,ネイティブ・スピーカーやベテラン教員が全体的印象で評価する方法は,客観性に問題がある。提示文に含まれる単語の何割を正確に再生できたかに基づいて計算する方法は,客観性はあるが作業に多大な時間とエネルギーを要するという問題がある。そこで,本研究では,英語教育と音声情報処理技術の専門家が共同で,パソコン上で音声情報処理技術(GOP : Goodness of Pronunciation)を駆使して自動的に測定・評価するシステムを構築した。 英語熟達度の異なる日本人英語学習者(TOEIC得点で200点台から900点台)が,発話速度140wpmで提示された331語のまとまりのある英文を初見でシャドーイングした音声データを,コンピュータとベテラン日本人英語教員が評価を行った。両者の得点を比較し,自動評価点の有効性を検証した。 日本人英語学習者のシャドーイングについて、GOPによる自動採点と手動採点の相関係数は0.85となり、コンピュータによる自動採点がシャドーイングの測定・評価システムとして有効であることが明らかになった。また、自動採点による得点とTOEICによる総合的英語熟達力の相関も0.82となり、自動評価システムが外的妥当性も十分備えていることがわかった。さらに、シャドーイングとTOEICの得点を回帰分析することにより、シャドーイングの出来具合から学習者の総合的英語力をTOEIC得点として予測・算出することができる。そこで、このシャドーイング自動評価システムに、TOEIC得点自動予測機能も搭載した。
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