研究分担者 |
峯松 信明 東京大学, 工学系研究科, 准教授 (90273333)
川村 明美 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 准教授 (30326996)
ハスキー ケイ 東京国際大学, 商学部, 准教授 (50237955)
染谷 泰正 関西大学, 外国語学部, 教授 (40348454)
西川 惠 東海大学, 外国語教育センター, 准教授 (10453705)
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研究概要 |
シャドーイングは,外国語の発音やリズムやイントネーションを習得でき,言語処理の高速化・自動化が促進され,聞く・話す技能も伸ばせる効果的な練習法として注目されている。一方,シャドーイングを,妥当性・信頼性・実行可能性をともなって評価するのは容易ではない。教員が全体的印象で評価する方法は,客観性に問題が残る。客観的な評価法として,シャドーイングに使用した原文中の何割の音節や単語を再生できたかを計算する再生率法が提唱されてきた(門田2007,山内・峯松・羅・川村2009)。本研究プロジェクトでは,シャドーイングを,音響モデルに基づいたGOP(Goodness of Pronunciation)という客観的な指標を使って,自動的に分析・評価するシステムを開発し,自動評価得点は,ベテラン英語教師による手動評価得点と高い相関をもつことが確認された。ただし,これらの客観的な評価方法にも課題がある。音節や単語の再生率に基づく方法は,韻律面を直接測定していない。GOPによる自動評価法も,音素単位の音響モデルとの類似度に基づく評価であり,韻律面は直接測定していない。そこで,再生率に基づく評価や音響モデルによる自動評価が,韻律面をどのくらい反映できるかについて明らかにするための実験を実施した。TOEIC得点に基づく異なる総合的熟達度の学習者に,英語特有のリズムやイントネーションを要求する強調構文や付加疑問文が含まれる英語パッセージをシャドーイング録音してもらった。この録音音声について,ベテラン英語教員による単語の再生率に基づく得点,と韻律に基づく得点,GOPに基づいた自動評価得点を算出した。この3得点を分析した結果,再生率と韻律評価との相関係数は0.578にとどまったのに対し,GOPによる自動評価法は,韻律評価と0.772という高い相関係数を示した。この結果から,GOPに基づく自動評価は,韻律面もある程度カバーできており,韻律面まで含めた評価指標としての妥当性が確認された(山内・峯松・羅・川村2010)。
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