本研究の実施過程(平成21~22年度)で、中国語総合教育システム"游"を使用し、得られた学習履歴と成績との関連、学習項目、教授法による習得度の相違等について分析と検証を行ってきた。最終年度である本年度は、獲得した研究成果により生まれた教育理論、教育方法により、システムの構築を行い、それを正課授業の中で試用し、得られた情報を分析し、より的確、効果的な教授法、利用法の検討を目指した。主な内容は以下の通り。 1システムの構築:(1)WEB上で行う「到達度テスト」実施システムの構築;カリキュラム制度に即して年4回行う設定だが、本年度は節電対策の影響で3回実施した。問題は、習得項目を全て網羅し、実施時間の異なる各クラスのテストに対して、経験値により難易度の同じ問題から乱数で異なった問題を出題し、結果を自動採点し、平均点、各自の偏差値、順位等の統計情報を提示し、これにより各学生、及び全体、クラスごとの習得状況の把握を可能にした。(2)授業完全準拠型演習問題の語順整序問題、空所補充問題の「誤答分析」システムの構築;従来履歴情報について、教員は各問題の正誤情報、学生は課ごとの正解率を閲覧できたが、間違った箇所、ポイントを提示する「誤答分析」により、学生には具体的な間違いの傾向によるアドバイス、教師には各学生と全体、それぞれの間違いの傾向を把握し、個人差に即したより細かな学習指導、教授法への反映を可能とする教育契機の提供が実現した。 2履歴の分析:誤答分析による詳細な履歴データにより学習履歴の分析を深化させ、学習履歴とユーザ調査の結果、成積との関係等を調べた。 3ユーザ調査:学習対象の興味の所在、有効性、満足度、教師の教育実践による感想、発見、課題等を理解する為に、システムの使用法、使用頻度、感想等についてユーザ(教師・学生)の意見を聴取し、その結果を考察し、学習者、教師の意見を反映したシステム機能の改善を行った。
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