研究概要 |
本研究の主な目的は,パラレルコーパスを活用した多言語教育DDL(データ駆動型学習)の普及に向けた先導的研究として,フリーウエアのバイリンガル検索ツールを開発し,英語教育・日本語教育現場でのコーパスの実践的利用の普及を図るものである。具体的には,1.フリーウエアとして多言語教育に活用可能なバイリンガル検索ツールの開発,2.英語DDL教材の開発と指導実践,3.日本語DDL教材の開発と指導実践である。平成21年度より4年の研究期間の3年目にあたる平成23年度の実績は以下のとおりである。 研究目的1.については,基本仕様を大幅に改善したWebConc-Bilingual検索ツールを平成23年度4月より英語DDLクラスで試用し,実際試用の結果に基づいて継続的に改善を加えた。その結果,英語DDL授業および家庭学習で継続的に使用可能な実用レベルにまで達した。また,ダウンロード可能なバイリンガル検索ツールAntPConcのプロトタイプを開発し,試用を開始した(担当:アントニ,中條)。 研究目的2.については,(パソコンを使用しない)プリント版とパソコン(WebConc-Bilingual)を使用するコーパス直接利用版を組み合わせた中級英語学習者向けのDDL教材を作成し,指導実践・効果測定を実施した(担当:中條)。また,英語DDLの中等教育への普及をめざして中・高生向けDDL教材の試作・実践を行った(担当:連携研究者千葉大学西垣)。 研究目的3.については,日本語上級学習者に,コロケーション等を中心に指導する上級用の日本語プリント版DDL教材を作成し,半期の指導実践・効果測定を行った(担当:田辺)。 研究成果として,DDL教材とその指導効果,およびDDL関連研究の成果を5件の国際学会(CL,AILA,日本語教育国際研究大会,AACL,ASIALEX)と3件の国内学会において発表を行った。また,上記国際学会のプロシーディングスをはじめ,『日本実用英語学会論叢』『日本大学生産工学部研究報告B(文系)』『千葉大学教育学部紀要』『日本女子大学紀要』等に雑誌論文を8件,加えて2件の著書論文を公刊した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的1・2・3を計画通りに遂行した。具体的には,多言語教育に活用可能なWebバイリンガル検索ツールの開発を完了し,英語・日本語DDL教材開発と指導実践を計画通り実施した。さらに,研究成果の発信について,学会発表8件,論文発表8件,図書2件を公刊した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後,当初の計画に沿って,多言語パラレルコーパス検索ツールについて,Web版日英新聞パラレルコーパス検索サイトを平成24年8月に公開予定であり,加えて,ダウンロード可能なスタンドアローン版の多言語パラレルコーパス検索ツールを平成24年9月に公開予定である。英語・日本語DDL教材の作成について,Web版,プリント版,スタンドアローン版の各種の教材を,前年度に引き続いて作成,指導実践をすすめる予定である。研究成果の発信については,国内・国際学会において口頭発表および論文発表の準備をすすめている。
|