研究課題/領域番号 |
21320109
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
|
研究期間 (年度) |
2009-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 学習者コーパス / 自発発話 / アノテーション / 自律的相互学習 / オーディエンス(聞き手) / 談話方略 / 転移 / 発話単位末母音延伸 |
研究概要 |
(1) 研究代表者が担当する1年英語クラスの受講生を中心としてデータ収集を進めた。 (1.1) テストスコア・各種ファイル・音声データなどについて、外部組織・研究者との情報共有に協力の意向のある学生に同意書への記入を求めた。(1.2) Versant English Test の試験用紙を配布し、学生に受験を促した。(1.3) 試験用紙・同意書など紙媒体の資料を電子化して集積した。(1.4) 学生の学習活動の音声記録をデジタル無圧縮収録するとともに活動状況をビデオに収録した。(1.5) これまでに収録した音声データの一部について、部分的に書き起こしなどのタグ付与と分析を行った。(1.6) 上記のデータをもとに、日本人英語学習者の自発発話の特徴について、母語における談話方略転移の観点からの分析・検討を行った。 (2) Pearson Knowledge Technologies を訪問して、データの分析と解釈について意見交換を行った。また、関連する国内・海外の学会・研究会等で研究の経過ならびに成果について報告した。 (3) 連携研究者として以下の研究者が本研究計画に参画した:中野美知子(早稲田大学・教授)・成田真澄(東京国際大学・教授)・楠元範明(早稲田大学・教授)・ストックウェル・グレン(早稲田大学・教授)・北原真冬(早稲田大学・教授)・星井牧子(早稲田大学・教授)・前野譲二(早稲田大学・助教) (4) 研究協力者等として以下の者が本研究計画に参画した:河村まゆみ(言語アノテータ)・難波彩子(岡山大学・准教授)・横森大輔(日本学術振興会PD・名古屋大学)・遠藤智子(日本学術振興会PD・京都大学)・鈴木正紀(Pearson Knowledge Technologies・Director of Test Development)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画においては、大学生英語学習者の比較的自発的な発話データと作文データを学習者の外部試験とともに収集することによって、学習到達度に応じてどのような英語語彙・表現を産出において使用することができるかを検討するための基礎資料となることを目指している。また、本研究計画に先立って平成18年度より平成20年度までの3年間にわたって実施した基盤研究 (B) 課題番号18320093『学習者プロファイリングに基づく日本人英語学習者音声コーパスの構築と分析』とほぼ同一のデータ収集方法で大学新入生英語学習者の比較的自発的な発話データと外部試験スコアを継続して収集しているため、同じような学習経験を経て大学に入学する新入生の英語運用能力についての経年的変化を検討するための基礎的な資料となることが期待でくる。本研究計画においては、データのアノテーションや分析はどちらかというと試行的・部分的に進め、データ収集に注力することとしているが、データ収集についてはこれまでの毎年度について予定通り進めることができている。また、比較的自発的な発話に特徴的に見られる発話単位末母音延伸ついて、母語の談話方略からの転移として分析することが妥当であると思われる見通しも得られているが、こうした分析は比較的自発的な発話を収集するという今回の研究計画に基づくデータ収集によって初めて明らかになったと思われるため、研究課題はおおむね順調に達成されていると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年度が本研究計画の最終年度となるが、データ収集についてはこれまでの年度との比較もあるため、従来通りの方針と手順で発話データの収集とVersant English Testのスコアを蓄積する。また、研究協力者等と協力して、発話単位母音延伸やフィラーの使用などの談話的特徴についての分析手法について検討を続け、国内外の関連学会で研究発表を行うほか、年度の後半にはこれまでの研究成果と蓄積したデータの活用方法について国際的な小規模なワークショップを開催して国内外の関連分野の研究者と意見交換を行うことを予定している。
|