研究課題
本年度は「帝国と近代」をメインテーマとしていくつかの研究会を開催した。特に重要だったのは、2009年9月3日の研究会(札幌)において、日本帝国を「国民帝国」および「異法域結合と差異化」の視点から論じた山室信一の報告と、ソ連を「共和制の帝国」として分析した池田嘉郎の報告であり、他の帝国・大国の研究にも応用できる概念や分析枠組みが提供された。カザフ大学のジャナト・クンダクバエヴァ教授を迎えて行った研究会(東京、2010年2月20日)では、ロシア帝国がカザフ人・カルムィク人を統合するために使った手法(行政、報賞、儀式、近代的生活習慣の導入)を、イギリス帝国との比較も念頭に置きながら議論した。また、国際シンポジウム「蒋介石と高田、そして日中ソ関係」(上越、2009年11月30日)を共催し、中国の近代化と歴史認識・国際関係の再編を、比較の観点から議論した。そのほか、ロシア帝国やその周辺地域の近代史を専門とする若手研究者たちを招いて研究会を開いた。これらを通して、近代における帝国の辺境・植民地統治や国際関係に関わる多くの事例を、帝国中央と周縁の両側から分析することができた。海外での成果発表としては、宇山智彦がヴェネツィアでの国際ワークショップReligion and Society in Central Eurasiaに参加し、ロシア帝政下でのカザフ人のイスラーム認識に関する報告を行った。資料収集の面では、ロシア帝政期中央アジア史に関する文献資料コレクション「トルキスタン集成」のデジタル版を購入するなど、比較帝国史研究に有用な史料を集めた。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)
新・現代歴史学の名著-普遍から多様へ(樺山紘一編著)(中公新書)
ページ: 200-214
歴史学研究 863
ページ: 12-21
地域研究 10, no.2
ページ: 90-108
ロシア史研究 86(印刷中)
Shygys(Journal published by the Institute of Oriental Studies, Kazakhstan) 2008, no.2
ページ: 143-148
スラヴ研究 56
ページ: 215-243
臺湾史研究 16巻第2期
ページ: 1-22
年報行政研究 44
ページ: 109-123
模索する近代日中関係-対話と共存の時代(貴志俊彦, 谷恒真理子, 深町英夫編)(東京大学出版会)
ページ: 159-183
民国人物与民国政治(中国社会科学院近代史研究編)(社会科学文献出版社)
ページ: 380-392
中華民国史研究三十年(1972-2002年)(中国社会科学院近代史研究編)(社会科学文献出版社) 中巻
ページ: 745-756