研究課題/領域番号 |
21320112
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中尾 知代 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (40207717)
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研究分担者 |
森 茂起 甲南大学, 人間科学研究所・文学部, 所長・学部長 (00174368)
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キーワード | 戦争トラウマ / 第二次世界大戦 / 連合軍捕虜 / 共同の記億 / JSP / 植民地主義 / BC級戦犯裁判 / オーラルヒストリー |
研究概要 |
▼中尾は、国際オーラルヒストリー学会プラハ大会で、「トラウマ体験のオーラルヒストリー」「事実と記憶の関係」コースで研鑽、現インドネシアにある日本軍抑留所で幼少時を過ごした抑留者、独軍捕虜の息子であり講師や参加者とトラウマ記憶の実質や聴く側の痛み等の知見を得た。またオーラルヒストリーを継続すると共に捕虜の口述資料の書起し整理を実施、今後の分析の基礎資料を確定。英国の対日戦争報道を分析、共同記憶化のメカニズム共著に纏めた。▼森はトラウマティックストレス学会と国際精神分析学会第1回アジア大会(中国、北京市)に出席。・発表。大戦時の日本人の「加害-被害」意識のインタビュー事例から後和解を妨げる要因分析と日本の戦争トラウマを発表、国際紛争後の和解・トラウマ治療に関する精神分析学的知見と加害・被害関係の新たな知見を得た。トラウマの視点から、相互理解と和解の可能性を検討し、『戦争体験の事実と向き合い、意味を理解する』事が共通重要課題と確認した。「他者と他者性:他者性と出会うことに関する精神分析的省察」「抑うつとトラウマ:世代連鎖に関する精神分析的観点」「想起と歴史化:個人的および集合的トラウマの変遷とその世代を超えた作用」等シンポに参加、将来の共同研究を検討。▼冨田は、インドネシアにおける調査で、戦争当時・戦後の日本軍に対する現地記憶の口述資料収集・検証作業を前年度に継続し資料について纏めた。またジャカルタ市内各地での日本占領下の記憶・記録の展示を調査した。▼松岡は、タイメン鉄道建設の情報収集とミャンマーにおける旧日本軍戦没者慰霊団に同行、調査研究を実施。泰緬鉄道研究所所長から捕虜にかんする資料利用・研究交流を確認。ミャンマーでは各地慰霊碑を訪問、戦地の慰霊のあり方、遺族の戦争に対する認識、現地と慰霊巡拝団との交流に接する機会を得た。▼マッカイは英領東南アジアにおける日本兵(JSP)の取扱の実態研究を継続し、東洋英和大学現代史研究会で捕虜であることを拒否する意識について発表、日本と英国資料館を調査・考察を纏めている。▼以上、各地の調査を元にBC級法務死者、捕虜、幼少時・成人時にトラウマを受けた者、JSP、被植民地の声を収集し今後の「兵士らの行動の文化的位置づけ」について、比較文化的考察とトラウマ的観点からのまとめと、それらを通した相互理解への方法論のさらなる研鑽と道付けを行った。
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